アーティスト

えもーしょん 高校生篇 #47

アーティスト

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.09.08

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#47
「アーティスト」
(2013〜2016/カイト・高校生)

高校2年生、秋。

ソファに自分の体の跡が残るほどアニメを見ていた。

ちょうどその頃、ネット配信がボクの家にも

普及し始め、WI-FIでスマホからテレビに繋げることができた。

朝、9時に起きると

リビングへ向かい、朝食を食べながら

今日は何を見ようかと、ネットサーフィン。

1シーズンすべて揃っていないと

ドラマやアニメは見れない。

来週、お楽しみに! なんて気が狂いそうだから。

クレヨンしんちゃんの劇場版作品をすべて見終わると

名探偵コナンか、ドラえもんか悩み

名探偵コナンを見ることに。

大体どれくらいだろうか。

朝10時から、夕方5時まではほぼ動かない。

トイレにも行かない。

唯一、怒られない点は

ノートとペンを持っていたこと。

この時はまだ、自分の画力に気づいていない。

名探偵コナンを見ながら、犯人のマックロクロスケをスケッチ。

そこから、牙やツノを生やして遊ぶのが日課だった。

最高なダメ男生活を過ごしていたある日。

遂に、ママがキレた。

毎晩毎晩、お菓子を買ってきても

次の日にすべてなくなっていたからだ。

お菓子さえ食べなければ…

ボクは今でもアニメを見てゲームをしていたかもしれない。

キレたママは、「あんた、将来どうするのよ!!!!!」

と、確信的なお言葉。

焦ったボクはとっさに

「アーティストになるんだよ!!!」

と、逆ギレ。

「だったら寝てないで絵描きなさいよ!」

と、ママ。

「こうしてるのも、仕事の内なんだよ!」

と、なんとも恥ずかしい。

この時、初めて

自分の口からアーティスト。と言う言葉が出てきてびっくりした。

あれ、そもそもアーティストってなんだっけ。

と、疑問に思ったが2020年の今でも

はっきりとした答えは言えない。

それよりも、どうあるべきか?

と、考え始めてしまった。

高校2年生のボクはいろんな方面で体力があったせいか

今と比べ、かなり主張が激しかった。

大きな、木版に黒のベタ塗り

蛍光ピンクの絵具で、目や口を書き

蛍光オレンジで輪郭、蛍光グリーンを飛び散らし

最後に、口にハンマーで穴を開けるという

トゲトゲしさだった。

その反動なのか、自分がたまに作る

主張の激しい作品を見ると、アレルギー反応のように

お腹が痛くなって、全身が痒くなる。

先週のスヌーピーを見てくれただろうか

あんな、単純なラインに

誰が8時間もかかると予想しただろうか

「まぁ、2時間くらいかな」

と、言った自分を後ろからぶっ飛ばしたい。

続く


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