えもーしょん 大人篇 #5
100円生活、主食奪還編。
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2019.12.27
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#5
「100円生活、主食奪還編」
(2016~/カイト・大人)
22:30
作戦決行の時が刻一刻と迫る。
とはいえ、そこまで
大袈裟な話ではない。
ただ、公園へ行って
タンポポを少し摘んでくるだけだ。
夕方に採ってきた、グミの実を
パクパクつまみながら
テレビを見て時を待つ……。
23:00
いたって普通だった。
袋を持って、玄関へ向かい
鍵を開け、家を出る。
アパートの階段から
公園を見渡し
人がいない事を確認。
肝心な、タンポポは
こんな、真夜中だというのに
輝いているではないか。
なんなんだ、あの輝きは。
階段を下り
ボク「あぁ、結構楽勝」と
ぼやきながら
丁寧に、いつもより少し早く
タンポポを袋に入れた。
大切なのは
取りすぎない事。
今日の分は今日。
明日の分は、明日。
これが、ボクの美学だ。
今日の分のタンポポを摘み終わり
家へ帰る。
タンポポの茎の部分と
上の花の部分を丁寧に切り分け
茎の部分は、3等分。
花の部分は、半分に切り分け
少し前に、3日分
貯めた100円
300円で買った、シーザードレッシングを
大体、5滴ほどかける。
ボク「はぁ」
これで、今夜の主食は完成。
甘酸っぱい、グミの実と
ザ、タンポポ!!!のたんぽぽサラダが
意外と、美味しい…。
多分、茹でるか
揚げるた方がが
もっと美味しいだろう。
それは、わかっているけれど。
今は、揚げたたんぽぽを想像しながら
茹でた、たんぽぽを想像しながら
シーザーたんぽぽを食べる……。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!