お風呂カウントダウン

えもーしょん 小学生篇 #2

お風呂カウントダウン

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / dec.03.2019

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#2 「お風呂カウントダウン」
(2003〜2010/カイト・小学生)

〜♪〜♪♪〜〜〜♪

口笛の音が
よく響く、お風呂。

ボクだけが、気持ちいい
口笛の音。

小学一年生のボク。
遂に、口笛をマスターした。

パパと2人
お風呂の中。

揺れる、キャンドル。
火が消えないよう
ゆっくり、浴槽に入るパパ。
どうやら、電気が止まっているらしい。

2人で、向き合い
ボクの口笛に
少しイラつく様子。

嬉しそうに、口笛を吹き続けるボク。

「かい、これ出来る?」
呆れた、パパが言う。

〜〜〜♪

息を吸いながら、口笛を鳴らす。

新しい、魔法を見たかのように
はしゃぐボク。

「やってしまった」と焦るパパ。

吸っても、吐いても
口笛を吹くボクに
パパは
ブルーハーツの曲を
教えてくれた。

トゥートゥートゥー
トゥートゥートゥトゥトゥトゥ

「キスして欲しい」だ

2人で、必死になって
口笛を吹く。

なかなか、アップテンポで
酸欠気味のパパ。

お風呂の外で、タオルを持った
ママが
嬉しそうに笑う。

ボクは、もっと口笛を吹く。

「そろそろ、上がったら?」
早くご飯を作りたい、ママが言う。

「肩まで、10してからね。」
パパが言う。

「ONE.TWO.THREE...........TEN!」

我が家のカウントダウンは
なぜか英語だった。

最初の、ONEの発音が大切で
綺麗に言わないと
ママが怒る……。

気がつくと、口笛にも飽きて
ご飯の事しか頭にない。

急いで上がるボク
消えるロウソクの灯り。

タオルを両手いっぱいに広げ待つ
ママ。

ボクを包み込む。

「ご飯、何?」
雑に頭を拭かれながらボクが言う。

「ハンバーグ」

その言葉に時が止まった。

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