アフター

えもーしょん 小学生篇 #40

アフター

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / jun.19.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#40
「アフター」
(2003〜2010/カイト・小学生)

マジックアワー

とは、最高の瞬間だ。

日の出派と、日没派に大きく分かれるが

みんなは、どちらだろうか。

小学生のボクは、断然

日の出派だった。

今思うと、日没にあまり外へ出ていなかったからかもしれないが

日の出が、とにかく好きだった。

朝、5時の

ツーン、とする夏の空気。

濡れた、松林の匂いに

遠くから聞こえる、朝の鳩の鳴き声。

薄暗く、冷たい朝を

裸足で駆けて、海へ向かう。

暗い、海の中に

黒い人影が、1つ2つ。

黒い人影に安心し

ボクは、ヒヤリと冷たいリーシュを付ける。

まだ、寒く硬いボードが

肋骨に当たる朝。

冷たく擦れる、Tシャツに

ワックスがおまけで付いてくる。

海と波が、ボードに当たる音が

まるで、大きな船が通るように

冷たく、静かな海に鳴り響き

朝の1本目のセットをつかむ。

乗り終わりそうになる、5秒前。

フィンが砂に擦れる、3秒前。

江ノ島と、大きな灯台が明るく

光り始める。

ボクの、上の空も

紺色から、水色に変わり

雲が顔を出し始めると

ゆっくり、少しずつ

風が吹き始め

あたりが、色を出し始めると

朝一の、海の面は姿を消して

だんだんと、小波が立ち始め

時には、ウサギが飛び始める。

海から上がると

朝露に濡れた砂浜が

夏の太陽に暖められ

冷たいボクの足を暖める。

ゆっくり、砂の丘を歩くと

濡れた、松林の匂いはなく

潮の匂いがする。

134号線を渡り

アスファルトを歩く頃には

じりじりと、陽炎が姿を表し

もう、そんな時間か。

と、ボクは冷たいシャワーを浴びる。

海パンを脱ぎ捨て、洋服に着替えると

冷たいジュースと、おにぎりが待っている。

ボクの好きな、マジックアワーと

そのアフター。

夕日が、富士山に沈む頃には

ボクは、家でテレビを付ける。

テレビの画面の光が

だんだんと、空に勝ち始めると

ボクのパパとママも

夜を感じ始め

ご飯を作り出す。

ボクは、まだテレビを見ていると

気がつく頃には、紺色の空が広がり

月が光出す。

それでも、やっぱり

テレビが光っている。

残酷なことに。


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