初めての、エキストラ。

えもーしょん 高校生篇 #16

初めての、エキストラ。

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.09

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#16
「初めての、エキストラ」
(2013〜2016/カイト・高校生)

高校生活にも、慣れて

夢見ていた、スクールライフは

幻想だったと、自覚し始めた。

モテ期? とは言えないかもしれないが

彼女は、3人ほど出来た。

1人目の彼女は

帰り道にチューしたら、振られた。

2人目の彼女は

ディズニーランドへ行ったら

音信不通になった。

3人目の彼女は

「なんか、違った」と言われ振られた。

けれど、なぜか強気のボク。

ある梅雨の日

ボクは

好きな女優さんとの

奇跡のワンチャンスを祈って、狙って

生まれて初めて

エキストラに参加してみることに

当日、指定された

スタジオに着き

「エキストラ控え室」→

と、書かれた紙に従い

部屋に入る。

部屋には、20〜30人ほど居て

年齢もバラバラだ。

恐らく、ボクが1番若いだろう。

「しばらく待機」と言われ

会議用テーブルに置かれた

お菓子や、お茶や、お弁当を

バクバク、食べていると

偉そうな人が何人かやってきて

部屋にいた、ボクらをじろじろ見ては

なにやら、話をしていた。

すると、君と君と君と君

と、指を刺され

ボクも、呼ばれた。

テクテクと、連行されるように

歩いていくと

そこには、何人もの大人を周りに

置きながら、凛とする

ボクの好きな、女優さんが。

高校生のボクは!

「あ!〜!」と

つい、はしゃいでしまい

即、楽屋に戻された。

そこで初めて

ぼくら、エキストラと

女優さんの、間には

ものすごく高く、分厚い

壁があることを知り

そもそも、テレビの向こう側の人と言うのは

こういうものか。

と、思い知ったのであった。

そして、楽屋という

監獄に囚われている、ボク。

ボクと、女優さんは

まるでロミオとジュリエットだ。

なんて事を考えながらも

少し、ガッカリしていた。

なぜなら、当初は

同じ楽屋で、話が盛り上がり

ラインを交換。

後日、デートに誘って

付き合うことに。

なんなら、ボクも俳優としてデビューし

同じ作品に、出ることに

そして、楽屋であばんちゅーる。

なんて事を想像していたのだから。

しかし、そこで

ボクに、ラッキーチャンスが

なんと、スタジオはトイレは1つしかなく

エキストラも女優さんも

使うトイレは一緒なのだ。

それから、しばらく

トイレで、たまたまを

装い、話しかけようと

待っていたが、結局来ず…。

もう、いいや。

「帰りてー」

なんて、独り言を言っていると

最後、奇跡的に

1番近い距離でお芝居をする事に。

いや、ただ、立っている

だけだが…

それも、ほんの数秒

それでもぼくは

その数秒のために

ものすごくたくさん

歯磨きをした。

結局、それからの事は

思い出したいが、恐らく

緊張のせいで、なにも覚えていない。

それから、月日は経って

ある日、イソップの前を

通りかかった時

どこか、懐かしい匂いがした。

そして、思い出した。

「あ、あの時の女優さんの匂い」


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