中華そば

えもーしょん 小学生篇 #42

中華そば

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / jul.28.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#42
「中華そば」
(2003〜2010/カイト・小学生)

ドーナツ屋さんに入り

お気に入りのチョコリングドーナツと

昔、食べた記憶のある

中華そばを頼んだ。

1番奥の席で先にドーナツを食べていても

中華そばが出てくる気配は一切ない。

ポケットに入っている

残りの300円でおかわりでもしようか。

と、ドーナツが入っている

ショーケースの前で悩み

チョコリングドーナツと、チョコの生地に黄色い砂糖が付いたドーナツを買い

再び席に戻って来た。

気になっていた、黄色い砂糖のドーナツ。

嬉しいが、それよりも中華そばの方が

気になってあまり集中できぬまま

初の一口を迎えてしまった。

「うーーーーん、甘い」

「結構甘い」

「大丈夫かな…全部食べられるかな」

「それよりも、まだ作ってるのかな…」

と、最後の一口のドーナツを

口に入れ、ストローを噛みながら

オレンジジュースで一気に流し込んだ。

「ふぅ〜」

もう一つのチョコリングドーナツは

持ち帰ると決めた時

「お待たせしました〜」

と、お姉さんがそれは、それは

まったく似合わない、中華そばを持ってきた。

「ありがとうございます」

と、トレーに乗った割り箸を割り

楽しみだった、ドーナツ屋さんの

中華そばをすする。

「あ〜!」

「そうだ、そうだ!」

「こんな味だった!」

1番古い記憶の中で食べた

ラーメンは、妄想ではなかった。

ボクは、確かにいつかのある日

ドーナツ屋さんで

チョコリングドーナツとオレンジジュース。

それから、中華そばを食べていた。

なぜかビーサンを履いて来たせいで

お店の中の冷房が寒くて寒くて

もう帰っちゃおうかな。

なんて、思ったりもしたけれど

やっぱり、この中華そばは最高。

とっても、優しい味。

何が1番かって。

ボクは、気づいてしまった。

あの記憶の中で、ボクに話しかけていたのは

ママだった。

この、ドーナツ屋さんの中華そばを見て

ハッとしてしまった。

ドーナツ屋さんの中華そば。

具がネギしかない。

これは、元祖具なしラーメンだ。

きっとママは、あまりにもボクが美味しそうに

食べるので

「よし! 今日からかいとのラーメンは具なしラーメンにしヨゥ!」

と、なったのに違いない。

「ボクは気づいてしまった」

そして、逃げも隠れも出来ないほどに

罪悪感が襲って来た。

海から、お家に帰ると

「ご飯がまだまだ出来ない」

と、ママから告げられたボクは

どうも、イライラしてしまい

喧嘩勃発。

「そんなんだったら1人で食べて来なさいよ!」

と、言われたので

「はーい! 行って来まーす!」

と、家を飛び出した。

早く、帰らなくっちゃ。

残ったスープを急いで飲み干し

すぐに、家に戻った。

「どこ行ってたの!?」

と、どうやら皆でボクを探していたらしい。

「ドーナツ屋さんの中華そばを食べた」

とは、言えないので

「公園で隠れていた」

と、言った。

「口にチョコついてるよ」

と、ママが笑った。

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