最高の思い出

えもーしょん 中学生篇 #60

最高の思い出

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / oct.30.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#60
「最高の思い出」
(2010〜2013/カイト・中学生)

この、無人島擬似体験は親友ノリスケの小さな反抗だってことに

ボクは薄々気づいていた。

彼は、なんでもいいから思い出を作りたかったのかもしれない。

なぜなら、ボクは明後日には千葉へ引っ越してしまうから。

きっと、ウッドデッキから出ては行けない。

という、ルールもボクに荷造りさせない為だろう。

ボクとノリスケは小学校2年生からずっと同じクラスだった。

ボクらが通う小学校、中学校はマンモス校なので

かなりの奇跡だったと思う。

彼と、仲良くなったのは小学2年生の体育の授業だ。

ボクは、ドッジボールが本当に苦手で

避けるのも嫌だし、当たるのも嫌だから

最初から外野に行くのが定番だった。

しかし、そんなボクにも必ず悪魔の時間がやってくる

それは、内側にいるチームメイトが少なくなってくると

内側から、呼び出しがかかるのだ。

制限時間が残り30秒とかならまだ頑張ろうと思えるが

相手が強く、開始早々呼ばれる時は本当に悲しい。

その日もそうだった。

ボクらのチームは開始1分でノリスケ以外全員アウト。

ノリスケが必死に相手からのボールをキャッチし

外野にパスをするも、なかなか当たらず

遂に、お呼びがかかった。

ボクは、内野に入るとすぐに

「ノリくん、当たりたくないから守ってくれ」と

なんともナヨナヨしいお願いをした。

すると、彼はその肉まんのような優しい笑顔で「任せろ」と言った。

そう、彼はこんなわがままボディでありながら

運動神経がものすごくいいのだ。

50M走は学年トップクラスで運動会のリレーはアンカーだし

サッカーも、ものすごく上手だ。

そして、1番得意なスポーツがこのドッジボールだ

相手もそれを知っているので

開始早々、ノリスケ以外を早く倒し

残った、ノリスケを全員で集中攻撃するという

今考えても、なかなか意地クソ悪い連中だった。

だが、それを知ってかノリスケは日に日にドッジボールが上手くなっていった。

そんな彼にボクはすっかり心奪われ、気づけば親友になっていた。

それから、中学生になり遂に引越しの日が近づいてきた。

珍しく彼がカメラを持っているのは

きっとそういうことだろう。

大きな空の下で、焚き火をしながら語り合うことはなかったが

ウッドデッキの上でボクらは共に支え合い

彼はパイオニアに

ボクは便秘になった。

続く


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