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Emotion 第39話

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Contributed by Kite Fukui

People / 2023.09.13

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第39話

まぁまぁ、これも経験だと思ってさ。とカイトに言われるがままに温泉へ向かった。チケットを購入しタオルを受け取ったあと、大体こういった温泉施設のお蕎麦とラーメンは美味しいので食堂のメニューを見てみることに。サンラータン、アジフライ定食、プルコギ定食。想像していたものと斜め上だった。

カイト「サービスエリアの温泉だからね、やっぱりスタミナ系が多いね」

なるほど、小さい頃大阪から宮崎まで車と一緒に乗船した船を思い出した。あの船もトラックの運転手さんが沢山いて、船内の食堂のメニューは優しさよりもスタミナ重視だった。

服を脱ぎ、体重計に乗る。いつからか減っても増えても気にしなくなってしまったが自分がどれくらいの重さなのかは知っておきたかった。58kg、筋肉があまりない僕の体にしては見えない何かがどこかに隠れているのだろうと思った。きっとここでまぁいいや。とおやつをいつも通り食べるとなかなか落ちない厄介なお肉がゆっくりゆっくりと増え気がついたらTシャツを着てお腹が出ている。と悩むのだろうな。

浴室のドアをガラガラと開けると、疲れ切った顔のお父さんやトラックの運転手さんなど沢山の人が湯に浸かっていた。大勢の人とお風呂に入るのは苦手なので体を洗ってサウナに入り水シャワーを浴びて、浴室を出る。再び体重計に乗るとなぜか体重が少し増えていたが気にせず服を着る。しばらく扇風機の前で休んだあと、なかなかカイトが出てくる気配がないのでそりゃ疲れているよな。と漫画を読んでサンラータンメンを食べて待つことに。食堂へ向かう途中の売店でノートとペンを買った。何を書こうか決めてはいないけれど、ノートを開いて真っ白なページを見ているとなんとなく四コマ漫画を描きたくなった。


続く



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