えもーしょん 中学生篇 #5
恋ってなんだよ。
2010〜2013 /カイト・中学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2019.12.13
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#5 「恋ってなんだよ」
(2010〜2013/カイト・中学生)
空は、すっかり暗くなり
オレンジのグラデーションから
濃く深い、青や紫のグラデーションに変わる。
ボクとノリは、まだ
そこを動く気は無かった。
何かを言いたそうにする、ノリ。
遂に彼は、禁断の言葉を口にする。
ノリ「恋って、好きって、なんだろうな。」
馬鹿野郎。
そんなの、13のボクらに
わかるわけがないだろう。
ボク「恋、してるの?」
さっきの質問を考えるから
単純な返ししか出てこない。
ノリ「おれ、恋してるのか?」
ボク「してるのか?」
ノリ「してるのか………。」
ボク「どう?恋」
ノリ「フルカラー。」
ボク「??????」
ボク「何それ、かっこいいね。」
ノリ「小説に書いてあった」
ボク「ボクはさ、好きな人と暮らしたり
、デートしたりする妄想するよ。それも恋?」
ノリ「それも、恋…………?」
ノリ「先生の話も、聞こえているけど聞こえないんだ。何をしていても、ボクがここに居ない感じがするんだ。」
ボク「……………。」
ノリ「もう、全部どうでもいいんだ。
なんでもいいんだ。」
ボク「ダメだろそれ。大丈夫か?」
ノリ「好きって言ってしまった方が楽かもしれないけれど……それはおれの都合だよな。」
ノリ「告白って自分勝手だよな」
ボク「妄想は、自由だぞ」
ノリ「この前、告白したんだ」
ボク「おぉ!!!!!!???」
ノリ「まだ、会って2回目だから。って断られた。」
ボク「何回ならいいの?」
ノリ「いや、そういうのじゃないよ」
ボク「そうか」
ノリは、なんだか少し楽になったようで
ボクのバカさに、笑っていた。
何もかも、どうでもよくなるなんて
13のボクには、病気にしか思えない。
彼は、今「恋の病」だ。
なかなか、辛そうだ。
でも、どこか楽しそうで
表情が豊かで、とても人間らしい。
それでも、結局
恋ってなんなんだ?と疑問に思って
聞いてみた。
ボク「結局さ、恋ってなんなの?」
ノリ「なんなんだろうな」
ノリ「好き。だけじゃないんだけど、好きなんだよな。好きの、進化系。好き好き。かな」
ボク「好き好きって…」
ボク「恋ってなんだよ。」
ボク「好きと恋は違うの?どうなの?」
ノリ「一緒だけど、違うよ。」
深いため息をつく2人。
綺麗な星と、光る月。
何も言わずに、起き上がる。
いつもの帰り道。
長く大きな坂を自転車で降る。
無心になって、ハッと
かなちゃんの顔が浮かんだ。
これが恋ってやつか?
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!