サマーボーイ

えもーしょん 高校生篇 #41

サマーボーイ

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / aug.11.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#41
「サマーボーイ」
(2013〜2016/カイト・高校生)

雨が降っている朝に

セミが鳴いている。

絶対、見つけられないのに

どこで鳴いているのか窓を開け外を見る。

あの木か、あの木か、あの木。

見つからない。

「まぁ、なんでもいいか」

最近、驚くほどお腹が空かない。

空かないと言うか、ずっと胃もたれしているような

それに、やる気が出ない。

眠くはないけど、眠気がずっと…。

ベッドに横になっても、

眠れず、汗ばむだけ…。

「それ、夏バテじゃない?」

彼女が、やってきて言った。

「夏休みに?」

「いや、夏休みとか関係ないから」

「ちゃんと、水飲んでるの?」

「あー、そういえば飲んでないかなぁ」

「ほらー、夏バテだよ」

「夏バテかぁ」

「サマーボーイなのにね」

「変な、あだ名つけるのやめてよ」

「サマーボーイが、夏バテ」

「夏バテサマーボーイ」

「へたれだね」

「どうする? 今日プール行くのやめる?」

「いや、プールは行きたい」

「ペットボトル、凍ってるやつ買って行こうね」

「あれさぁ、全然溶けないし最初だけ甘くて後最悪じゃない?」

「だから、それだけを持って行くからね?」

「それだけ持って行くものじゃないからね?」

「普通、冷たい飲み物ともう一つとして凍ってるペットボトルだからね?」

「でもさ? 1つ目の飲み終わったら来るわけじゃん、凍ってるやつ」

「1つ目がたまたますぐ飲み終わったら、すぐ凍ってるやつ来るわけじゃん」

「どうするの?」

「そういう人は、もう買っちゃダメだよ」

「凍ってるペットボトルは、セミとか浮き輪とか、海の家とかと一緒、夏の思い出アイテムだからね?」

「夏の思い出ね…」

「花火、お祭り、ペットボトル」

「花火、お祭り、ペットボトル!?」

「そんなに!?」

「当たり前じゃん! 夏以外にいつ買うのよ!」

「あんな、カチコミに凍ってる飲み物冬飲んでるの人見たことある!?」

「いや、ないかも」

「どんなに、冷たい飲み物飲みたくてもあれは冬に飲まないでしょう!?」

「確かに」

「そういうこと」

「夏の、思い出と思って買うから色々我慢できるの」

「まったく溶けない時のイライラ、最初だけ甘いと分かっててもそれを全部飲んじゃう罪悪感、最後の、ほんのひと固まりが出てこないイライラもぜーんぶ、そう」

「夏の思い出アイテムだから、我慢できるのよ」

「ほぅ〜」

「夏は、なんでもかんでも凍らせる癖がつくよね」

「この前さ、バナナを凍らせてみたの」

「硬すぎて、食べれないからアイスみたいに舐めてたのね」

「そうしたら、パパがなんかニヤニヤしてて」

「うーん」

「チラッと見たら、鼻からコーヒーこぼしてさ」

「それ以来、なんかパパに近づきたくないのよね」

「パパ…」

「機嫌とりに、買い物いくか? って聞かれてね」

「こんな、暑い中アウトレットに行ったの」

「ひと通り、周って買い物した後にパパなんて言ったと思う???」

「わかんない」

「下着屋さん見て、今日は何色? って言ってきたのよ!!!」

「パパ…」

「何なの!? 男の子は夏になるとメラメラしてくるの!?」

「パパ、サマーボーイだから…ね」

「もう!」

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