夏休みの宿題

えもーしょん 中学生篇 #46

夏休みの宿題

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.08.31

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#46
「夏休みの宿題」
(2010〜2013/カイト・中学生)

24時間テレビが終わると

そろそろ、夏休みの宿題を思い出す。

いまさら始めたところで、終わるはずないとわかっているのに

少し出来るんじゃないか? と

学校から持って帰ってきた大量の荷物に手をつける。

が、どこを探してもない。

それもそのはず、どうせ毎年この流れになることを予想して

持って帰って来なかった。

宿題を机の中に残し、学校を後にしたあの日。

自分は無敵だと思った。

今はどうだろうか、じわりじわりと

額には脂汗が滲み、手汗が止まらない。

ど、ど、ど、どうして…。

自分はこんなにバカなことをしてしまったのか。

あぁ

24時間走ったら、許されないかな。なんて思う。

手元に資料がなくともできる宿題といったら

読書感想文、自由研究、1ヶ月分の絵日記、自由作文、美術の授業の絵

以外とやることがあってびっくり。

読書感想文は、漢字が読めないので難しい。

自由研究は、メントスコーラでもやってなんとかなりそう。

これから1ヶ月分の絵日記は必殺棒人間で乗り切れる

自由作文も、パソコンを使えば大丈夫。

美術の授業の絵も、なんてことはない。

国語算数理科社会ができないボクにも

学校はしっかり救いの手を差し伸べてくれているじゃないか!!!

あぁ、目黒先生ありがとう。

作文のテーマはすぐに決まった。

題名「目黒先生のある日のポロリ、ボクの視線はどこへ」

これしかない。

ボクのビーナス

魅惑のボディのティーチャー。

あぁ、この夏休みには1回くらい

デートのお誘いがあると思ったが、まったくなかった。

連絡網に載っている、先生の携帯に何度電話したことか。

先生の、「もしもし」「もしもし」

この言葉を聞いては、電話を切る。

絵日記のテーマも決まってしまった。

題名「夏休み、ボクからのワンギリ狂気的なLOVE」

きっと、すべてが完成した時

自分の変態さに初めてびっくりすることになるだろう。

残念だが、この世界で変態が生き抜くには

並大抵の努力では足りない。

いかにポップに、人を傷つけず

心から笑ってもらえるかが大切だ。

と、中学1年生で気がついたボクは

この先、一生変態を全うすることを誓った2013。

ノースリーブのお姉さんを見てニヤけるのはもうおしまい。


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