Contributed by Kaoru

People / 2019.04.12

anna magazineが注目しているフードスタイリストの薫さんと、彼女の友人でマルチメディアコンテンツModels.that.eatのクリエイターPOJOさんがなんだか楽しそうな活動を始めようとしているらしい。

詳しく聞いてみたら、
ちょうど私たちが2019年から始動する、“自分たちらしく生きる女の子たち”を応援する「Girls Go West Project」と相通じるものがあった。「それならぜひ一緒にイベントをしようよ!」ということになったのが昨年10月のこと。

しばらくは日本とNYの間でLINEや電話で話し合って準備を進めていたけれど、2月に入ると薫さんがNYへ出発!イベントに向けて大きく動き始めた。この連載ではイベントまでの2人のアーティストを追っていく。

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2019/2/23

午後1時にPOJO(ポジョ)の友人たちとヴィーガン料理屋さんDelice & Sarrasinで合流した。Anajah(アナージャ)とSamia(サミーヤ)。サミーヤが先に来て、少し遅れてアナージャ。いきなり、とってもいいバイブ。やっぱりいいバイブを持った子の周りにはその同じバイブを持った子が集まる、この国でも類は友を呼んでいる。私は黒人の子たちのヤングカルチャーにすごく興味があって色々話しを聞きたいと思っていたから、2人と話し始めた途端、日本人とか何歳とか、関係なく受け入れてくれた感じが嬉しくて、テンションがあがった。




POJOと同じく2人はノリが今時っぽいのに、しっかりと地に足がついた話し方をするし、賢さも伝わってくる。2人とも食べるのが大好き。ヴィーガンではないけれどヴィーガン女子のPOJOおすすめのお店ということでみんなでわいわいがやがやメニューを漁り、ガレットとサラダとワッフルを注文したところで一旦落ち着いた。ここのお店のオーナーがイケメンだとPOJOが言うので、みんなで目を見張らせていたけれど、この日は生憎不在だった。初対面だけど英語だから敬語もないし、気さくな2人とだからこんな会話で盛り上がれるのも楽しかった。





しばらくするととてもヴィーガンとは思えない様な美味しそうなお料理たち(決してヴィーガンが不味そうというのではなく、個人的にヴィーガンでフレンチなんてどうなの??と偏見を持っていた)が運ばれて来て、みんな「OMG!!!(オーマイガッド!!)」「STOOOP!!!(やめてー!)」と盛り上がる。そんな瞬間をPOJOが愛用のFUJIFILMのインスタントカメラでパシャりと撮影する。



POJOと今回コラボ作品を作る上で大事にしたかったのは、POJOが捉える、友人たちとの日常の時間を写した写真の上にFood On(食べ物を乗せる)するということ。自然体の友人たちの豊かな表情を撮ることは、POJOにしかできないことで、その写真がとてもいい。と私は思っている。食べ物を前にして楽しそうな表情だったり、ハッピーそうに頬張る瞬間など。今回しっかり彼女の写真と向き合って、食べ物ってこんなにみんなが幸せな気持ちになるんだな、と改めて感じさせられた。



週末のブランチの時間帯だったので、撮影しながらみんなの近況報告をしていたらあっと間にお店が混んで来た。少し落ち着いたところで食べ物についてインタビューをしよう、ということで一旦お店を出た。

歩きながら、サミーヤの彼の家が近いから、そこで話せればパーフェクトじゃん!(アナージャもPOJOも彼と仲がいい)とサミーヤの提案から、彼(ピーター)の家に向かうことに。途中、サミーヤが大好きな大福アイスが売っているお店に寄った。





ピーターのアパートに着いて、2人のインタビューを始めた。インタビューと言っても堅苦しくならないように、あくまでもカジュアルな会話の中で、彼女たちの好きな食べ物について自由に話してもらうことにした。



アナージャは、彼女が育ったニュージャージーの貧しい環境と、現在のNYとでは目にする食材自体が全然違う。と話してくれた。子供の頃はアボカドなんて日常的には目にしなくて、食べたこともなかった。けれどNYに移り住み、スーパーで新しい食材を手に取る環境になり、モデルを始めてからはスーパーフードなんかにも興味を持つ様になった。元々親の方針で幼少期からジャンクフードはあまり食べてこなかったので、サラダやオーガニックのフルーツ、チキンなどクリーンな食べ物が大好き。私と似た食生活をしてるな、という印象だった。一番印象に残っているのは、有名になる為に料理をしない。という話(笑)「ラッパーの人が顔にタトゥーを入れて普通の暮らしができない状況をあえて作って、ラッパーとして成功する道しか残さない覚悟をするのと同じように、料理ができない人間になることで、専属の料理人がつくくらい有名になるぞ!って頑張れるの!ビヨンセだって料理できないって言ってたし(笑)」と話していたこと。



一方でサミーヤもニュージャージー出身だけれど、彼女が育った地域はインディアン、韓国人やアジア人の多い地域だった。母親がジャマイカ出身なので、東アジアやスペインの影響を受けているカリビアン料理や、インドカレーを食べて育った。サミーヤの話から、カリビア諸島は様々な国のカルチャーがミックスされた食文化であることを知って、とても興味深かった。彼女が一番好きなのは母の作ってくれるスパイスたっぷりのオックステール。今はNYで自炊生活なので、毎日仕方なく、料理している。本当にお料理が嫌いで、なんといつも怒りながらお料理しているらしい(笑)、その話も面白かった。面倒くさいので、ジャマイカンスパイスミックスを常備して全ての食材にかけて料理する。そのスパイスをかければ何でも美味しくなるんだって。(笑)

こんな風に作品のインスピレーションになる面白い話を2時間くらいたっぷり聞けて、すごく楽しかった。どんな作品を作るか、ぼんやりとしたイメージが頭に浮かびながらair bnbの家へ帰った。

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続きは来週、4月19日(金)公開予定。

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【POJO】
フィービー ジョセフ(通称POJO) はModels That Eatのクリエイター。
11歳の時にNYでモデルとしてスカウトされ、13歳の時にNYのモデルエイジェントと契約した。
学業とモデル業を両立し多忙に過ごした5年後、業界を離れ、ボディーイメージやモデル業界での食べ物への考え方などを話し合う、マルチプラットフォームのModels That Eatを始めた。
現在、19歳のPOJOはNYのクリエイティブエイジェンシーで働きながら、モデルたちと日常的に食事している。

Models that eat
フィービー(POJO)によるマスチメディアプラットフォーム。フードのビデオブログやモッパン風のインタビュー、そしてモデルやロールモデル(お手本になるような人)とのリラックスしたコンテンツで、馴染みのあるSNSに新たな一面を加えるような内容になっている。
HP: https://www.modelsthateat.com/
Instagram:@models.that.eat
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCNx3ENkOieKfOebVAMkK5KA/about

Food On A Photograph
フードスタイリスト薫によるパーソナルプロジェクト。写真の上に食べ物や料理などを乗せ、その写真を再度撮影する、というアナログかつシンプルな手法で3年半ほど制作し続けている。
2017年に東京渋谷のAbout life coffee で初個展「Food On A Photograph」、2018年にはニューヨークSOHOのCafe Integralで個展を開催。
Food On A Photographとして初めて作成したzine 「Audrey」はNYのMcNally Jacksonはじめ、LA、東京、京都など多くの有名書店で取り扱いされています。
Instagram: @foodonaphotograph


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