自分探しの旅へ。

えもーしょん 中学生篇 #14

自分探しの旅へ。

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / feb.06.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#14 「自分探しの旅へ」
(2010〜2013/カイト・中学生)

映画の彼のように、あてもなく

その瞬間で、旅をする事が

少し、羨ましく感じた。

ご飯を食べ終わり

再び、ソファに座る。

「うーーーん」

仮に今、彼のように

旅に出るとするならば

目的は何だろうか。

いや、そもそも

目的を考えては

彼のように旅は出来ないか。

「うーーーん」

体がソファに沈み始めると

心のどこからか

「自分とは?」

と、聞こえてきた。

「なにそれ」

何、自分とは?って

あれか、たしか

「縦の繋がり、横の繋がり、全部無くした時に、お前はそこに居るのか?」

って

この前、おじちゃんに言われた。

それ…なのか?

「お父さん、お母さん、おじいちゃん
おばあちゃんの縦の繋がりもなく
縦の繋がりから、頂いた
お友達や俺らやお世話になってる人の
横の繋がりも、全部無くした時に
お前はそこに居るのか?」

確か、そんな事を言われた。

よく考えてみると

ボクの旅はいつだって

後部座席の中だけかもしれない。

ボクの旅の思い出のほとんどは

車の中で生まれ

後部座席の窓からの景色の方が

記憶に残っている。

それは、それで

ミステリートレインのようで

面白いけれど。

たった、1人で

知らない土地へ向かう旅は

まだ、した事がないかもしれない。

そう、思うと

おじいちゃんの言っていたことは

少し、理解出来る…………。

ならば、行かなくては

行こう。

何を持っていくか。

ボクは、ついに

依存していた、リビングのソファから

立ち上がり

自分の部屋へと向かった。

そして、

まずは、ソファに座った。

テレビをつけて、よく考える。

リュックの中を全部出して

まずは

ペンとノートを入れる。

これは、もし

飛行機に乗って、墜落した時に

最後の手紙を書くため。

次は、

残り、15枚ほど残ってた

写ルンですを見つけ、入れる。

帰って、誰かに自慢するように

変な写真を撮るために。

何粒か残ってる、ガムを忘れない。

小さい方の、ポケットに。

歯ブラシと歯磨き粉をジプロックに入れて

携帯の充電器も

もし、強盗に襲われたら

すぐに、逃げられるよう

スケボーも、持って行こう。

それから

泊まる場所がなかった時のために

ブランケットも丸めて入れる。

靴下を1つ、パンツも1つ、Tシャツを1枚

寒い時ようにパーカーは裏起毛を選んで着ていく。

転んでもいいように、デニムを履いていく。

肝心なお金は…

引き出しを開けて

封筒を開けると

この前の、遠征費が随分と残っていた。

5万円もあった。

全部、ビリビリの折りたたみ財布に入れて

チェーンをつけて、ポケットに入れた。

よし、準備OK

部屋で、バタバタしていると

心配したのか

ママが見に来た。

「あれ、どこか行くの?家出?」

「違うよ、ちょっと自分を見つけに行ってくる」

「自分を?ふふふ。いいね」

「どこへ行くの?」

「駅に行ってから決めるよ」

「一応、何かあったら迎えに行くから
どこかへ着いたら電話してね」

「わかった」

「明日出発?」

「いや、今から行こうかな」

「もう、電車ないから明日にしたら」

「あぁ、そんな時間かぁ」と

ボクは、準備した

史上最大の荷物を入れたリュックを

ベットの横に置き

デニムを履いたまま、横になる。

「1人で旅をするとこんなに荷物があるのか」

と、普段みんなに甘えていた事を知った。

今日は、随分と忙しい1日になった。

さっき起きたばかりなのに

もう眠い。

明日は、6時に起きて

旅に出よう…。

続く。

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