文句ばっかり

Emotion 第3話

文句ばっかり

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.07.13

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第3話

パソコンを買ってみた。もしかしたら、これから沢山使うかも知れないと思ってProの方を買ってみた。家に帰って箱を開けて、近所のスタバへ行った。チャイティーラテを頼んで、席に座る。
パソコンを開いてセットアップをするまでは、やることがあって周りにいるビジネスマンやデザイナー風の人と同じような気がした。

セットアップが終わると、「メルカリ」のワードが頭にチラつく。何をしたらいいのだろうか。
結局ここに戻ってくる。セットアップ後10分でこのパソコンはNetflix専用になりつつある。

「Mac デザイン」と検索

Illustratorやphotoshopを大体みんな使っているらしい。どちらを選んだら良いか分からないけれど2つは高いから、最近までカメラを持っていたのでphotoshopをダウンロードした。iphoneで撮った写真を綺麗にしたり加工したり一応絵もかけるみたい。

ダウンロードが完了して、photoshopを開く。。。。何をする。。。。

「もうやばいな」

「本当にやばいな、ダメだな」

真っ白のキャンバスボードの前で頭を抱えた。チャイティーラテを飲み、スコーンを食べ、ドーナツを食べ。結局photoshopを閉じて Netflixを観ている。

「流石にダメ過ぎるだろ」

と再びphotoshopを開く。ペンツールで何となくお花を描いてみる。

「何だこれ」

幼稚園児の落書きにしかならない、自分の画力に絶望する前にphotoshopを閉じる。

「保存しますか?」と表示が出る。

「保存しない」をクリック。

紙とペンを買ってきても、何も描かないまま。絵具と筆を買ってきても使わないまま。カメラもすぐに売って。パソコンも今売ろうかと悩んでる。何を待っているのだろうか。やる気になるきっかけをいつまでもどこかで期待して待っているなんて辛過ぎる。けど、何をしたらいいのか分からない。とかいつまでも言っていられない。のは分かっている。けど、何も出来ない自分がいて。そんな自分を認めたくないんだけど、結局そんな自分でしかなくて。また明日バイトに行って、ひたすら小麦粉を練って焼いて。そんな毎日で。気がついたら文句ばっかりで、明日からやってみるとか言って結局アニメ見て漫画読んで寝て。こんなんじゃダメだって坊主になってもまだ何も出来てなくて。インスタ開いて友達が個展開いてて何がいいんだとか、人のこと言い始めそうになってて。もう最悪なんだけど。


続く



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