夏の終わり

えもーしょん 中学生篇 #30

夏の終わり

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.05.01

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#30 「夏の終わり」
(2010〜2013/カイト・中学生)

遂に、この日が来たのだ。

夏の終わりを迎える日

そう、今日から学校が始まる。

とはいえ、まだ気温は高く

クーラーのない学校を想像するだけで

汗が出てくる。

「今日は、学校行きたくない」

と、キッチンのママへ伝える

「なんで?」

と、ママ

「暑いから」

と、ボク

「いつも、行かないんだから式くらいはちゃんと出なさい」

と、ママ

「その式が、地獄なんだよ?行ったことある?ないでしょう?」

「ないよ、ママ寒い地域だったからね」

「ほら!ほら!だから行きません」

「ダメです。行きませんじゃないよ」

「ダメです。行きません」

「ダメです。行きます」

と、その時

仕込んでいたかのように

家のインターホンが鳴った

「はーい」

と、ママが向かう

「かいー、さやちゃんが迎えに来たよー」

と、ママ

「あぁ、ダメだ。行かなくちゃ」

と、ボク

「少し、勝ち誇るように笑うママ」

家を出てると

「おはよう〜」

と、さやちゃんが居た

「おはよう〜」

「今日は、学校行きたくないんだ」

「なんで?」

「暑いから…」

「暑いから…って目の前じゃん!」

「違うよ、始業式の体育館が灼熱のでしょう」

「あぁ、まぁね」

「とりあえず行って、ホームルームだけ出て抜ければ?」

「あ、そうするか」

と、ボクはさやちゃんと

50mほどしかない

通学路を歩く。

「家を出てさ、左右の家が全部好きな人のお家だったらいいのに」

と、ボク

「確かに…」

「電信柱一本過ぎれば、さやちゃんが手を振ってくれてね」

「電信柱一本過ぎれば、カナちゃんがかいと〜!って言うから…」

「そうすれば、なかなか学校にいけなくて困ってしまうよね。」

「理想は、程遠いね」


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