秋の肉まん

えもーしょん 高校生篇 #27

秋の肉まん

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / may.05.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#27
「秋の肉まん」
(2013〜2016/カイト・高校生)

すっかり、秋も深くなって

紅葉とか、コンビニのおでんとか

朝起きた時のツーンとする寒さとか

もう、夏が恋しいとか

そんなこと言っている時期でもないし

いつのまにか、夏ってワードも

口にしなくなった。

けど、忘れたわけじゃなくて

また、来年必ず訪れるし

秋があって、冬があって、春があって

夏があるって

必ず、またやって来るって知っている。

だから、安心して

秋も、冬も、春も楽しめるのだ。

だから、忘れたわけじゃない。

なんだかんだ、秋も嫌いじゃない。

風が強くて、大変な時はあるけど

街を歩けば、いい匂いがして

立ち止まって、何か食べよう。

そう思えるのは

暑くなくて、寒くないから。

食欲の秋、なんて言うのも

運動の秋、なんて言うのも

きっと、それが関係しているのかな。

「なに食べる?」

学校の帰り道、綺麗な夕陽に光る君。

ヤンキーではないけど

良い子すぎるわけでもない君。

商店街の肉まんの匂いに誘われて

帰り道とは少し違うのに

やって来てしまった。

「何か、食べながら帰る?それとも食べて帰る?」

と、肉まんか、ピザマンか悩見ながら君が言う。

「公園で食べようか」

と、ボク。

「じゃあ、私肉まんで」

「ボクは何にするの?」

と、お店のおばあちゃん。

「あー、彼小麦アレルギーなんです」

「あら、もったいねー」

「ねー?」

「まぁ、でも仕方がないね」

「はい、肉まん。120円です」

「はい、ありがとうございます」

「熱いからね、気をつけて持ってね」

「はーい、ありがとうございまーす」

「あ、ボクにはこれあげる」

と、おばあちゃんに海苔巻きのお煎餅をもらい

公園へ向かう。

「いいなー、お煎餅」

「食べる?」

「いや、食べたいけどさ」

「公園で、私1人右手に肉まん、左手にお煎餅」

「それで、隣にかいとが座ってるって」

「もう、すっごく食いしん坊な人に見えちゃうじゃん!」

「確かに…笑」

商店街を抜けると、大きな公園。

遊具は特にないから

公園って言うよりも、広場って言ったほうが正確かもしれない。

ベンチに座り

美味しそうに、肉まんを食べる君。

「おいんひぃ〜」

「そんなに、ガツガツ食べたらすぐなくなっちゃうよ」

「それが、いいんだよ」

「これだから、小麦アレルギーは。もう!」

と、君。

「だんだん、寒くなって来たね」

「ハロウィンとか、どうする?」

「何かするの?」

「んー。いや特には」

ハロウィンは、特に必要ない。

みんな、それぞれ季節を感じて

生きているわけだけど

たまに、これが本当に合っているのか

誰かに確かめたくなる。

だから、ハロウィンとかクリスマスとか

そんなのがあるのかもしれない。

シャツのボタンが閉まった時

ボクは秋になるけど

中には、夏休みが終わったら秋だ。

なんて、言う人もいる。

しかし、ハロウィン=秋

とは、みんなが共通して秋といえる。

だから、そんなのがあるのかもしれない。


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