ありがとう

えもーしょん 小学生篇 #65

ありがとう

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.11.20

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#65
「ありがとう」
(2003〜2010/カイト・小学生)

あちゃー、もう11月かぁ。

なんて思っていたらとっても大事な事を思い出した。

そろそろ、えもーしょんが終わります。

来年の2月か、4月? それとも年内なのか…。

なんにせよ終わることは確かです。

前回も、終わる終わらないとありましたが流石に今回はマジなお話です。

昨日も言ったことだけど、あの日食べた焼き芋の味も

お菓子も、具なしラーメンさえも味なんかもう全然覚えていません。

不思議です。

きっと、あの時はすげー! うめー! とか言っていたのだろうけど

まったく覚えていません。

みんなもそうだと思うけど、味なんかよりもそれまでの過程が1番大切なんです。

ふと、えもーしょんの原稿を書いていると

いつかの日に戻って、ごめんね。と言いたい友人が沢山います。

ちょっと後悔しています。

不登校のボクを毎日、毎日、迎えに来てくれたのり君は今なにをしているかわからないし

あの時、手を繋いでくれた女の子の名前も思い出せない。

夢か現実かどうかもわからない記憶があるし…。

全部、ちゃんと嫌なことから逃げなければ…。

ごめんねを素直に言って、チューを断られて泣かないで、ちゃんと嫌なことに

向き合っていれば、もっとエモい記憶になっていたのかも。

もう、ずっとずっと昔のことだからしょうがないけど

最近になって、自分の都合の良いように記憶が書き換えてあることに気づいてショック。

ボクはずっとモテていると思っていたけど、全然そんなことなかったし…。

ホコリ臭いカーテンに包まれてチューなんてしていなかった。

むしろ断られて恥ずかしくてカーテンに包まれて泣いた…。

美味しく食べたと思ったボクらの焼き芋も、いじめっ子に取られたし…。

パパがボコボコにしてくれたけど。

大人になるっていいこともあるけど、なにかがなくなることも結構あるみたいです。

えもーしょんの読者の皆さんが何歳くらいで男の人なのか女の子なのか

全然知らないけど、こんなにも読後感ゼロの読み物を毎日読んでくれているんだから

きっと、みんなはごめんねもちゃんと言えてきたんだろうな。

ボクも、みんなのようでありたい。

えもーしょんも、ラストスパートです。

いつも読んでくれてありがとう。


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