将来

えもーしょん 小学生篇 #60

将来

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.10.23

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#60
「将来」
(2003〜2010/カイト・小学生)

季節の変わり目には大体雨が降ることがわかった。

それと、波が上がることもわかった。

今日も、家の前は胸肩くらいあるのに

なんだか、やる気になれない。

そもそも、どうして大会に出なければいけないのか

なんのために戦わないといけないのか

最近、ちょっと分からなくなってきてしまった。

気がつくと、大会に出ていたし

勝たないと、怒られるし。かと言って

大会に出たくないと言うとまた、怒られるし

本当何のために大会に行くのかわからない。

毎日、普通にサーフィンしていたいけど

ちょっと、ボクにはそれはできそうにないと知ってしまった。

かと言って、多分プロサーファーにはならない気がする。

今まで、学校の将来の夢欄にプロサーファーと書いてきたけど

それはなんかちょっと違う気がする。

ふざけて、えろ漫画家

と、書いた時の方がなんだかしっくり来たのを覚えてる。

けど、サーフィンを辞めるわけにはいかない

だって、アサちゃんに会えなくなるから

ボクは、たとえその日1番のセットに乗っていたとしてもだ

アサちゃんが沖へパドルしている姿を見たら

すぐにプルアウトする。

偶然を装って、「アサちゃん!おはよう~!」なんて言ってしまうだろう。

結構、サイテーだけど

サーフィンか、アサちゃんかだったら

迷わず、アサちゃんを取るだろう。

だから、きっと大人になってもサーフィンは常に2番な気がする

1番にもならないし、3番にも4番にも5番にもならない

絶対的2番は一生サーフィンだと思う。

ただ、プロになるためにはこれが絶対的1番じゃないといけない。

「もう、何よりもサーフィンが大好き!!!」

くらいじゃないと、いつかまた

なんのために戦っているの?と自問自答が始まるだろう。

だから、多分ボクは将来プロサーファーにはならない気がする。

かと言って、サラシーマンにもならない気がする。

出来れば、毎日寝ていられる職業がいい。

1日のほとんど寝て、週に2、3日だけちょっと働くくらいが

短期集中型のボクには合っている気がする。

あとは、モテたい。

アイドルよりもキャーキャー言われたい。

道を普通に歩くことが難しいくらい

ファンの人がやってきて、キャーキャー言われたい。

ボクは、将来モテたい。


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