えもーしょん 大人篇 #27
夏に狂うのは
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.05.12
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#27
「夏に狂うのは」
(2016~/カイト・大人)
夜明けの、公園。
夜な夜な、釘打つあの子はもういない。
人気のない、代々木八幡側の
雑木林。
そこには、見たこともない
人だかりが。
ざわざわと、みんなが集まる
視線の先には
木々に打ち込まれた
藁人形が。
「あはは」
と、思わず笑う
サッ! っと
ギャラリーの視線がボクは
みんなの視線が伝える
「お前か!」
に、いや! 違う!
と、視線で訴える。
「あ、それね。真夏の果実を熱唱して釘打ってましたよ〜」
なんて、言えない。
あっちーけど
バイト行くかぁ〜。
マラソンする、ランナーと
ともに、バイト先へ向かう。
「おはよう〜」
と、お店の前でスケボーするみんな
「昨日さ、帰り道にさ、公園で藁人形を打ってる人がいたの!」
と、ボク。
「すげーな、かいとも打たれてこいよ」
なんて、ひどいことを言うみんな。
「今日は暇そうだから、なんかキャッチボールとか色々出来そうだねー」
と、同僚のカンが言った。
夏の、陽炎。
コツコツとヒールの音に
耳を傾け、視線を送ると
そこにはなんと、君が。
ん?!
「かいと〜おはよう!」
ん?!
「あ、お、おはよう〜」
今日の彼女は、どこか
スッキリした様子
それにしても
妙な、雰囲気だ
以前から知っているが
もっと、こう
なんか、こう
さっき会ったような…。
って、まさか
ボクの頭で、流れ始める
真夏の果実。
「おはよう、あのさ昨日電話したんだよ」
と、ボク。
「あ、ごめん。昨日公園にいたから…」
と、君。
「こ、公園。あぁそうなんだ。なにしてたの?」
「ん〜、まぁ色々?!」
「へぇ〜色々ね」
「忘れられないHeart&Soul♪」
君が言った。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!