えもーしょん 大人篇(特別篇) #74
起きたら日曜日
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.12.03
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#74
「起きたら日曜日」
(2016~/カイト・大人)
もう、終わった…。
どこからか、そんな声が聞こえた。
『大丈夫? ねぇ、大丈夫?』
『ちょっとヤバいんじゃない???』
誰かが、なにかを心配している真っ暗な暗闇の中で
だけど、どこか暖かくて気持ちがいい…。
このまま、ここにずっと居たい気分だけど…。
ハッと目が覚める。
瞬時にもうやってしまったと悟る。
携帯の画面を見る。
「日曜日じゃん………」
「ってか今日撮影じゃん!!!」
「まずい、まずすぎる」
「まずいのさらに上!」
「危機!」
「ど、どうする?」
おやおや、お困りかね?
ボク「お困りかね?じゃねーし!」
天の声「じゃねーしじゃねーし!」
急いでシャワーを浴びる。
「ちょっと待って、坊主?スキンヘッド?」
「あれ、どっちだっけ」
「スキンヘッドだ!」
慌てて電動シェーバーを充電、その間にバスタブにお湯を溜める。
考えても仕方がないし、時間は過ぎて行くけれど…。
担当の鈴木さんには連絡をしたから
多分見てくれてはいると思うけど…。
けど……………………。
さて、いつ原稿を書くか…。
お風呂で書く? いやそれはちょっとね。
現場ではもちろん無理だし
そうなると、お家に帰って徹夜で書くしかない!!!
と、なってしまう。
出来れば徹夜は避けたい。嫌だ、いやだ、イヤダ
徹夜は嫌い、ボクはしっかり寝たい…。
ゆっくり、バスタブに浸かり来週の熱海の温泉を思い浮かべる。
頑張ろう…頑張らなくっちゃ。
ボクの葛藤はまだまだ続く、しかし恐怖。
どうにか絶対終わらせるけど眠らない自分が一番怖いぞ!
右からだんだんと天の声が聞こえ始めると最後!
はあああああああああああああんん! 眠いいいいいいいいい!
なんて自分で言ったら、気がつく頃にはおやすみなさい。
それも避けたい! どうしても!
なにかいい方法はないかなぁ…。
「ご、ゴーストライターでも雇っちゃう?」
なーんて思ったけど
ボクの代わりができるはずがない…。
えもーしょんは難しい。
小説と言うと首を傾げられるし、エッセイと言うと「うーん」って表情される。
ブログ? なんて言うと「それは違うかな」
なんて言われてしまうし…。
「小ッセイじゃない?」なんて最悪にしらけることを言われてしまう。
もう少し、こうなんて言うか
統一感が出るといいんだけど…。
あぁ、そんなことを考えているとほら
家を出る時間だよ…。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!