やっと焼きます、食べます

えもーしょん 小学生篇 #64

やっと焼きます、食べます

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / nov.19.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#64
「やっと焼きます、食べます」
(2003〜2010/カイト・小学生)

ここまで、まさかの4話も引っ張ってしまいました。

おいおい、いつになったら食べるんだよ!

と、心豊かな読者の皆さんもついに昨日は思ったでしょう。

すみません。

でも、ここはえもーしょん。

焼いて食べた、焼き芋に味なんてほとんど覚えていません。

覚えているのは、あの日のサツマイモが

"どう焼けたか、誰と焼いたか、誰と食べたか"なんですよね。

そもそも、学校で焼き芋なんて今では考えられない。

煙はすごいし、危ないし

誰かが火傷でもした時には、モンスターペアレントの逆鱗に触れることでしょう。

この原稿は、1度書き終わっていたのですが

書き終わってから思い出したことがあり

もう1度書き直しています。

思い出したことといえば

あの日、焼き芋を焼いてくれたのは目黒先生と用務員さん。

先生になったばかりの目黒先生は、きっと今のボクと同い年です。

そう思うと、先生は本当に頑張っていました。

目黒先生は、きっとトモ君の事を気にしていたのかもしれません。

ずっとずっと前に、国語の授業で読んだ戦争中のお話。

トモ君が、音読をする文の中に「焼き芋」というフレーズがありました。

トモ君は、「???」を頭に浮かばせそれまでスムーズに読んでいた彼が止まり

みんなが、漢字読めないのかな? と小声で「やきいも」と囁きましたが

トモ君はそれでもキョトンとしていました。

そして、隣の席のボクが「どうした?」と聞くと

彼は「なにそれ」と言いました。

クラスのいじめっ子も、女の子も、先生もボクも

返す言葉がなく、凍りつきました。

今だから、振り返って色々記憶を整理できるけど

そういえば、いろんな事が順調でした。

先生が焼く、焼き芋の場所には数日前から用務員さんがこそこそ作っていた

簡単なBBQスペースがあったし、のり君のママなんてこっそり写真を撮りにきていたし

滅多に学校行事に顔を出さない、ボクのパパも来ていました。

みんな、トモ君を気にしていたんですね。

そんな、トモ君ですが2年前に久しぶりに会いました。

絵に描いたお話のように、彼は名門大学に入学しお父さんの研究を引き継いだそうです。

ボクには、さっぱりわかりませんがざっくり宇宙と空間を研究しているらしいです。

あの日、ボクらが八百屋さんの上の彼の家で見た大きな物体は

彼のお父さんが研究していた、タイムマシンだったそうです。

ここまで原稿を書くとまた、「続く」を使ってしまいそうだったので

急遽、変更しました。

いつも読んでくれてありがとう。


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