「3,2,1, JUMP!」
ジャンプで人を幸せにする?!
FREITAGのハッピーマン現る!
Photograph: Jun Nakagawa Text: Miyuki Matsui
People / 2020.02.27
『人がジャンプする瞬間を撮り続けている面白い人が来日します!』
彼の名はアラン・ドランスフィルド。25周年を迎えたFREITAGのグローバルハピネス執行役員にも就任したという彼は『幸せとは何か?』をテーマに、世界を旅しているらしい…。旅する女の子を応援しながら、世界中の女の子を幸せにしたいと思っている私たちContaien編集部/anna magazineとしては、そんな彼に会わないわけにはいかない! ということで、噂のハッピーマン・アランに会ってきました。
Q1. アランさん、『幸せとは何か?をテーマに世界を旅している』って本当ですか?
僕はもともと車のデザイナーだったんだ。当時は旅が「趣味」だったんだけど、ある日世界を旅することを「本当の仕事」にしようと決めたんだ。「世界の真実、本当の姿を見たい」と思ったから。そしてそれを写真と動画で伝えていきたいと思ったんだ。
そんなとき、ユーザーとして使っていたフライターグの「ハピネス執行役員募集」の広告を見かけたんだ。フライターグの倫理や哲学、ブランドストーリーも含めてまさに運命だと思ったよ。これが自分のやりたいことに導いてくれる近道だって!
Q2. 『人がジャンプする瞬間を撮り続けている』活動について教えてください。
僕がイタリアを旅していたある寒い冬のことだった。一ヶ月間旅をしている途中で、勢いにまかせてあちこちに行ったり、道端で知らないひとに声をかけまくっていたんだ。とても変人扱いされたんだ。けど、これは「人々を笑顔にする」っていう僕の個人的な挑戦だった。声をかけると、その人の白と黒の部分が見える。白っていうのはポジティブな部分で、要するに声をかけると笑ってくれること。でも忙しい都市周辺に住む人の多くは黒い部分…ネガティブな部分が見えた。みんな寂しそうというか、顔が暗いというか…。僕はそういう人たちを笑顔にしたかったんだ。
あるとき、友達とふたりで老夫婦を見かけて、ふと「今あの二人に声をかけて、ジャンプしてって頼んだらどうなるんだろう?」って話になったんだ。その二人はとても綺麗な格好をしていて、真面目そうな二人だったんだけど、「すみません、僕たちのためにジャンプしてくれませんか?」とお願いしたら「もちろんだよ!」と言ってくれた。ジャンプした瞬間、真面目な顔だった人の顔がぱっと明るくなって、「これは最高だ!」と思ったんだよ。
Q3.ジャンプのときの笑顔って撮影するのが難しかったりするんですか?
難しくないよ!これは技術的なことじゃない、要は”エネルギー”なんだよ。リラックスしている感じだったら、ものすごく簡単に撮れる。大事なのはタイミング。連写はしないでワンショットでね! カメラの容量が少ないっていうことも理由だけれど、一瞬を撮ることにこだわっているんだ。できるだけその人が自然体な瞬間を撮りたいと思っているから、できるだけ地上から浮く瞬間を撮るようにしているよ。着地するときはもうその人は着地することがわかってるから、若干テンションが下がっているように見える(笑)
『自然体の瞬間を撮る』っていうのがこのプロジェクトのコンセプト。普段街にいる人々と、誰でも社会的な立場があるけれど、ジャンプするときっていうのはその仮面が一瞬だけ剥がれると思っている。人々にはこんな風にジャンプしてただ笑ったり、童心に戻ったりする機会が必要だと思ったんだ。
Q4.旅で出会ったひとの中で印象的なエピソードはありますか?
この質問をもらったとき、誰がいいかなって考えていたんだ…。有名なラッパーとか、スイスのシンガーにもジャンプしてもらったことがあるから、それがいいのかな、とも思ったけれど、ちょっと違う気がして。それで浮かんだのが、大阪で撮影した高齢の女性と、自分のおばあちゃん。僕のおばあちゃんは94歳で、ジャンプっていってもほんのちょっとしか飛べないんだけど…(笑)
ジャンプするっていう行為は、言語や性別をいとも簡単に超えられるのがおもしろいよね。大阪で出会ったおばあちゃんを撮ったのは2013年に来日したときだよ。彼女がジャンプしたとき、すごくびっくりした顔をしてたんだ。なぜなら、彼女はもう久しくジャンプなんてしていなかったからね!
Q5.今回の来日でもたくさんのジャンプを撮影しましたか?
20人くらい撮影したね。東京はクレイジーな人も多いけれど、みんないいひとだよ。こうやって写真を撮っていると、写真を嫌がる人にもたくさん出会うけれど、この前原宿で撮影したらみんなものすごくオープンで、たくさんのひとが「いいよ!」って言ってくれた。原宿はいろんな種類の人がいておもしろいね。
Q6.とってもハッピーな活動ですが、この活動でご自分自身はどう変化しましたか?
自分の生き方や、時間の使い方について考えられるようになった。
今までの10年間は、毎日9:00-17:00まできっちり働いて、もちろん自分の仕事は大好きだったけれど、もっと自由な時間が欲しかったんだ。だから本当に自分の望む道を歩みたいと思ってリュックだけ背負って、友達や家、持っているもの全部を置いて、旅に出た。
旅の最初の三ヶ月は、自由時間にも何かやっていないと罪悪感を感じていたんだ。「友達にメールしなきゃ」「写真を加工しなきゃ」「なにか生産的なことをしなきゃ」って。でも自分の時間を自由に楽しんでいいんだって気づいてからは、朝起きて一日中おじいさんとチェスをしたり、2日間タイのローカルなシェイク屋さんで看板を描きながらタイ語を学んだり。今までにないような素晴らしい時間の過ごし方だった。
みんな、若いときには学校があって、試験や卒業があって、大人になれば仕事でやらなきゃいけないことがたくさんある。それらがぜんぶ、まるでプログラミングされているような気がして…。この活動を始めて、いつでも誰かのために何かやらなきゃいけないっていう感覚がなくなった。だからこのプロジェクトのタイトルは”Don’t hurry be happy”っていうんだ。急ぎすぎず、シンプルに生きていく。それがこの活動の大きなコンセプトだよ。
Q7.現代の人々はただ笑ったり童心に戻ったりする機会が少ないと感じますか?
少なくなっているなとは思う。いつだってやらなきゃいけないことに時間をとられていて、常に次のステップを見ているからね…。以前サモアを訪れたとき、本当にシンプルなものしかなくて、いい車もいい家もないけれど、誰もが幸せそうに笑っていたんだ。小さなコミュニティだけれど、近所の人にみんな家族のように関わっている。こういう関係は幸せの源だと思うし、これはもともと人間が持っていることなはずなんだけど、みんな忘れてしまっていると思う。みんながそれを思い出したら、もっとシンプルな暮らしができると思うんだ。ジャンプするってことも、シンプルなことの一例でしかないよ。僕はミカドっていうシンプルなゲームが好きなんだけれど、それも同じ。いろんなことを忘れてシンプルに楽しむってことが大事なんだ。
Q8.旅の中でたくさんの幸せを感じるそうですが、これから世界中を旅してどんな人に出会いたいですか?
自分が何かを学べる人に出会いたいな。たとえばユアン・マクレガーとかかな。10年ほど前に、彼が彼の友達と一緒にモーターサイクルで世界一周するドキュメンタリーがあって、それにすごく影響を受けたんだ。だから彼とビールでも飲めたら嬉しいね!
あとはサバイバル能力の高い人(笑)以前テレビで見たサバイバル番組の影響だけど、一緒に裸になってサバイバル技術を学びたい。
あとはトム・ヨークかな。彼はアーティストとしてクリエイティビティに溢れてる。ここで言っておけばいつか会えるかもしれないから、正直に言ったよ(笑)
どんな旅をしたいか、も言っておくね。ずばり、宇宙だよ! 地球を上から見てみたいな。そして地球に戻ったときはきっとまた違う風に感じるんだろうね。
Q9.宇宙にはジャンプできる人がいないけれど大丈夫ですか?
そうしたらエイリアンを探して地球に連れて帰ってきて一緒にプロジェクトをやるさ!(笑)
Q10.最後に、フライタ―グのハピネス執行役員として何を伝えていきたいですか?
このプロジェクトは、世界中の人々をポジティブにしているのと同時に、ぼく自身を幸せにしていくれているんだ。僕がしていることは小さなことだけれど、このプロジェクトに関わってくれた人が感じた幸せをどんどん誰かに伝えていってくれることで、ポジティブな影響が広がっていったらうれしいよ。僕とは違う方法だっていいんだから。シンプルに、悲しんでいる人や暗くなっている人を少しでも幸せにしていけたらいいなと思う!
このインタビュー後、アランは少年のように目を輝かせながらこう言いました。
「君たちもジャンプしてくれる?!」
「3、2、1、ジャンプ!」
アランはわたしたちのジャンプの瞬間をインスタントカメラでばっちり撮影してプレゼントしてくれました。せっかくだから、とアランにもジャンプを依頼! さすがハピネス役員。誰よりもハッピーな特大ジャンプを見せてくれました!
ハピネスの輪を広げていくアランと、そんな彼をフューチャーするFREITAG。そのシンプルな活動と強い信念に心を打たれ、私たちも旅する女の子を応援し続けることで、わたしたちなりのハピネスの輪を広げていこうと心から思ったのでした。
彼のプロジェクトは、Don’t hurry,be happyのインスタグラムでチェック!
IG: @donthurry_behappy
www.freitag.ch/happy
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anna magazine
「anna magazine」は、ファッションからライフスタイルまで、ビーチを愛する女の子のためのカルチャーマガジン。そして、「anna magazine」はいつでも旅をしています。見知らぬ場所へ行く本当の面白さを、驚きや感動を求めるたくさんの女の子たちに伝えるために。