えもーしょん 小学生篇 #4
ヒッピー、初めてのDIY
2003〜2010/カイト・小学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2019.12.05
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#4 「ヒッピー、初めてのDIY」
(2003〜2010/カイト・小学生)
ある日、砂浜を散歩していると
そこに、鉄パイプが四角形に
しっかり固定されているのを見つけた。
誰が、何の為に使うのか
誰も知らないから
ボクが、家にあるブルーシートで
壁を作った。
次の日、そこへ向かうと
中には、ボロッボロの座椅子と
ワンカップらしき
強いアルコール臭のする
ビンが置いてあった。
3歳くらいから、海の防風林で暮らす
ホームレスのおじちゃん達を見ているから
すぐに、大体の様子が理解できた。
「あ! 来てくれたんだ!」
と、サンタクロースが来たんだ!
並みに喜ぶボク。
もっとよく見ると
いい感じに、中の砂を整えてくれていて
ゆるい、傾斜だったのに
しっかり平らになっていた。
きっと、昨夜はここで寝たのだろう。
そうなると、ボクもなにか仕事をして
おじちゃんを喜ばせたい。
急いで、師匠の家へ向かい
事情を説明した。
とりあえず、ママに話すと
汚いとか、危ないとか言われるから
ママには内緒にする事になった。
師匠は、ボクを車に乗せて
近くの湘南モールフィルへ向かう。
スーパーSANWA でお菓子とジュース
お弁当を買って
同じ1階にある
ロイヤルホームセンターで
木材や釘、ノコギリなどを買った。
それから、ボクが案内をして
基地に向かう。
基地に着くと、師匠は
「これは、漁師さんが網を干すのに使ってた物だよ」と教えてくれた。
「まぁ、でもよく1人でブルーシート張ったな」と褒めてくれた。
何を作ろうとしているのか
さっぱりわからないボクは
買ってもらった、お菓子とジュースを食べながら
師匠が車から木材を下ろすのを
座って見ていた。
ブツブツ何か言っている師匠ーーーー。
「かいと、やるぞ」
師匠が何か書きながらボクに言う。
「んー」とボク。
師匠に言われるがままに
木材を切ったり、釘を打ったりした。
ようやく、形が見えて来た。
テーブルだ。
「おぉーすげー」
基地の中にあるボロボロの座椅子に
ぴったり合う高さの
テーブル。
「意外と、簡単だったな。」と
自慢げに師匠が言う。
「ねっ!」とボク。
嬉しいそうに笑う師匠。
スーパーで買った
お弁当を
作りたてのテーブルで食べながら
師匠が言った
「次は屋根だな、雨降ったらここで眠れないな。」
そんな事を話しながら
片付けをし、車に乗る。
2人して疲れたのか
会話がほぼない。
「ありがとう」と家まで送ってくれた
師匠に手を振り
お風呂に入り、眠りについた。
ーーーーーーー。
次の日の朝
ドキドキしながら、基地へ向かう。
‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️
ちょ!え!!!!???
我を忘れ、ボクこんなに足速いのか?
と思うほどに最大限に走り続け
師匠の家へ。
時間はAM6:00
まだ、眠っていた師匠を叩き起こし
車で基地へ向かう。
基地に着き、基地を目にした師匠。
‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️
一瞬で目が覚めた様子。
屋根が出来ていた…………………。
2人で、開いた口が塞がらない。
昨日、ボクらが
ここを後にしたのが、夕方5時
まだ、24時間も経っていない。
ビックリしたと同時に
敗北感を感じた、ボクと師匠。
これが、ボクと師匠に火をつけた。
結局、この後師匠が本気を出し
後輩の大工さんを連れて来ては
本気で家作りをしていた。
完成形は、もう家だった。
途中、市役所の人達が
見に来ては、注意を受けたりしていたが
ここまで本格的に家が出来ると
なにも言わなくなった。
3か月かけて
みんなが勝手に作った、ボクの基地。
冬になると、サーファーのおじちゃんが
あまっているストーブを持ってきてくれて
海に入る前や、入った後
みんなで暖を取れる
溜まり場になっていた。
次回
「ラブシーンは、ほどほどに。
帰ってきたボク」へ続く。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!