えもーしょん 高校生篇 #14
感じろ!感じろ!フォースを感じろ!
2013〜2016/カイト・高校生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.02.13
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#14
「感じろ!感じろ!フォースを感じろ!」
(2013〜2016/カイト・高校生)
「おばちゃんが見せてくれるスクラッチは触ってはいけない」
「だから、感じなければいけないんだ」
「う、うん」
「いや、これを聞いてやばいやつとは思うけれど」
「これは、まじなんだ」
「街中で、ビビッと感じる時あるだろう。
女の子を見てさ」
「あれが、あるってことはスクラッチにもあるはずなんだ」
「まじか、ケン」
「まじだ」
「1回、病院行く?」
「いや、おれはまじだ」
「まじで、行く」
「いや、おれはまじだ」
と、ボクは
お金ない病の末期を見ているかのようだった。
「かいと、お前フォース使えるか?」
終わった。
ついに、ケンは終わった。
「今、終わった。って心の中で言っただろう」
「え?」
「ケン、まじ?」
「ましだ」
「おれは、証明したんだ」
「これを見てくれ」
と、10万円が当たった
スクラッチを見せてくれた。
「おれは、まずこのスクラッチを当てたんだ」
「まぐれかと思って、次もやったんだ」
「それが、これだ」
本当に、2枚当てていた。
「ケン、まじか!!!」
「そう、かいと。まじだ」
「おれは、フォースが目覚めたんだ」
遂に、この時が来たのか。
ボクはそう、思った。
昔から、ボクは
スーパーヒーローに憧れ
育ってきた。
だから、自分も
超能力を使えると、ずっと信じていた。
しかし、どこか
完全に信じられない、自分も
いることは事実。
どうか、それを
確信に変えて欲しかったのだ。
「見せてくれ、君のフォースを」
ボクは、ケンに言った
「ついてこい」
ケンはそう言って
自転車に乗り、どこかへ
向かった。
5分ほどして、近くのスーパーが見えた
そして、駐車場の脇にある
小さな、宝クジ売り場に着いた。
「スクラッチを1つください」
と、ケン
「はい、スクラッチですね」
おばちゃんは、また来た!こいつ!
なんて、思っているだろう。
「お選びください」
と、
何枚かのスクラッチを広げ
ケンは上から手をかざし
選んでいた。
「これで」
と、10秒ほどで
真ん中あたりの
スクラッチを選んだ。
ボクは、ただ
ボーーーッと見ていた。
少し端に寄り
10円玉で、削っていく
彼は、スクラッチの購入から
選び、削るまで
流れるように
スムーズに動いていた。
後ろで、ただ
ボーーーッと、彼を景色のように
見ていると
「かいと、ほら」
と、ケンが
ボクに何かを見せていた
「あ、ごめんごめん」
と、向かうと
「まじか!!!!!!」
本当にびっくりしかない。
そう、彼は
やったのだ。
当てたのだ。
もう、彼を疑う余地はない。
正真正銘のジェダイだ。
「ケン、ごめん」
「おれ、疑ってしまった」
「こんな、おれでも使えるかな。フォース」
ケンは、神々しくこう言った
「かいと、フォースと共にあらんことを」
続く
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!