そんなある日

Emotion 第17話

そんなある日

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.08.07

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第17話

大型の台風が沖縄を襲っているらしい。「のろのろ台風」などと優しいニックネームを付けられているが、沖縄の人たちからしたら可愛くもなんともないだろうな。と思いながらテレビを見ている。

来週にはこちらにやってくるらしい。このコースだと内陸寄りで風が強いだけで波は良くないな。
外の植物達を気にしつつ、問題はなさそうかとベランダを確認。ふと、仕事を辞めた友人カイトが気になった。元気にしているのだろうか。

メッセージが届いていたが、何となく面倒な気がして見てもいなかった。これで彼が部屋の中で1人倒れていたら僕のせいだ。
恐る恐るメッセージを確認。

カイト「おれ、旅に出ることにしたよ」

カイト「見てるか、おれはこれから旅に出るぞ」

カイト「着いたぞ」

メッセージと一緒に送られて来た写真は、ハワイのダイアモンドヘッドの写真だった。

カイト「すげーわ、ハワイ。最高」

カイト「帰って来た。お土産のチョコ溶ける前に取りに来て」

僕が見ないうちに、彼はハワイへ行って帰ってきていた。彼が帰国してから2週間が経っている。チョコはまだあるだろうか、中にマカダミアナッツが入っているチョコだろうか。
これからメッセージをしても、怒られるかもしれない。直接尋ねてみる事にした。

家を出て自転車で10分、取りに来て。と彼は言っていたので恐らく住所は変わってないはずだ。以前、彼が勤めていたブラック企業はブラックとは言えお給料はそこそこ良かったらしい。白金高輪駅からほど近い大きな道路沿いのマンションに彼は住んでいた。

入り口で202号室のボタンを押し呼び出す。

カイト「よう、裏切り者」

インターホン越しに彼の声が聞こえた

僕「生きていたか」


続く


Tag

Writer