このまま

えもーしょん 小学生篇 #59

このまま

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.10.22

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#59
「このまま」
(2003〜2010/カイト・小学生)

自分は、子供だと自覚しているけど

大人になりたいとは、思ったことがない。

小学生6年生になると、微妙な時期になってくる。

大きく変わるのは、サーフィンの大会に出場する際

キッズクラスから、ボーイズクラスへと変わる。

ボーイズクラスは中学生から高校生までのクラスだけど

中学1年生と、中学3年生では体格が結構違うし

ボクから見た、中学3年生なんてもうほぼ大人。

あんな人に、パドルで勝てなんて言われても

カエルが、パンチ1発でライオンを倒すようなもんだ。

「厳しいなぁ」

こう、現実を目のあたりにすると

ほんと、まだまだ子供でいたいと子供ながら思ってしまう。

そんなに、急がなくてもいいじゃない。と思うけど

日に日に、ボーイズクラスへ進んでいってしまう。

小学6年生は本当に微妙なライン。

子供だけど、ちょい子供じゃない。

温泉に行っても、もう女湯には入れないし

意外と遠くの方へ1人で旅に出れちゃうし

化学調味料は体に悪いから…天然酵母がいい。

とか言って、スーパーのチョコチップメロンパンを卒業したり。

ママの、具なしラーメンは全然美味しくないことが判明したり

一風堂のもやしをちょっと遠慮したりね。

子供だけど、ちょっと子供じゃない

微妙に振り切れないこの感じがなんだかもどかしい。

大人になりそうなんだけど、それはまだ少し先な感じがする。

その前に、青春があることを知っているけど

青い空にきらめく太陽、真白なブラウスを着た。

色白、鷲鼻、金髪で、黒縁メガネの女の子がいないと話にならない。

教室を見渡しても、望みはないから

諦めた方が、良さそうだ。

近くの、大学附属高校にはアサちゃんがいるから

猛勉強して、飛び級できるなら今から大人になってもいい。

でも、この前アサちゃんがママチャリで男の人と2ケツしているのを見て

ちょっと複雑な気分。

一応、ボクは間接キスしてるから…。

それにこの前、駅前のドーナツ屋さんでラーメンを食べていたら

アサちゃんが見えて、あ! と手を振ろうとしたんだけど

ちょっと、ヤンキーみたいな黒い車に乗って行ったのを見てしまい

もっと複雑。

ボクが、大人に近づくように、アサちゃんも大人になっていくのはわかっているんだけど

こう、目の前で見てしまうとちょっとお腹が痛いよね。

ずっと、お家でゴロゴロしてる大人になりたい…


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