思い出せない、初デート。

えもーしょん 中学生篇 #21

思い出せない、初デート。

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.30

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#21 「思い出せない、初デート」
(2010〜2013/カイト・中学生)

中学校に入学してすぐ

“彼女”という存在がなんなのか

わからないまま、ボーッと

気がついたら、女の子と付き合っていた。

初めての彼女は確か

同級生のお姉ちゃん。

3年生のお姉ちゃんは、もう

ボクよりもうんと、大人だった。

初めてのデートは

ベタに映画館。

普段なら、ここで思い出せるはずだが

どう、頑張っても

抜け落ちている記憶を拾えない…。

スタートダッシュは、完璧だったはず。

恐らく、フィニッシュが…。

2009年。

ボクは中学1年生。

初カノは、中学校3年生。

名前は忘れたが、可愛かった。

ボクは、メールの動く絵文字にハマっていて

すべての語尾に、文章とは関係なく

動く絵文字を使っていた。

ある日

「かいとのメール、目がチカチカする」

と、学校の屋上の手前の

誰も来ない階段で言われた。

「え、どの絵文字?」

と、ボク。

「いや、どの?じゃなくて」

「全部が、キラキラ動いてるから…」

彼女は、そう言って

ボクに、メールを見せてくれた。

確かに、動く絵文字が多すぎて

文章を見るよりも、アニメーションを

見ているようだった。

「じゃあ、動かないやつにするね」

と、ボク

「うん、明日映画観に行かない?」

と、彼女が行った

ボクは、映画=キス💏

と、頭が勝手にいろいろ想像して

即座に「イク!!!」と答えた。

「じゃあ、明日の10時に迎えに行くね」

彼女は、そう言って

教室に戻り、ボクは早退して家に帰った。

家に帰ると、珍しくパパの車が止まっていた

「あー、まじかよーいるのかよー」

と、いつもより少し重い

玄関のドアを開けて家に入る。

ん?

あれ、もしかしたらいないか?

と、あまりにも静かな家の中

海にでも行っているのか。

そう思い、階段を上り

リビングのドアを開けると

「……………」

パパが、パソコンの前で

1人エッチをしていた。

うーん。

なに事もなかったかのように

ドアを閉める。

しかし、目が合ってしまったような…

階段を降りて、またすぐ上がる。

すると、換気扇の音が聞こえた。

あれ、気のせいか。

リビングのドアを再び開けると

キッチンの換気扇の下で

タバコを蒸すパパの姿が

「おぉ〜かい、おかえり〜」

と、パパ

「あ、うんただいま〜」

と、ボク。

あぁ、気のせいか

そう、思い

明日の映画を調べるため

パソコンを開く。

すると、「あ…」

大量の怪しい広告とともに

映し出されているのは

エッチ動画…。

初デートを前に、パパの

1人エッチを見るなんて…。

続く…。


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