いつものボクでいたい

えもーしょん 高校生篇 #62

いつものボクでいたい

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.12.22

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#62
「いつものボクでいたい」
(2013〜2016/カイト・高校生)

高校3年生の夏、ボクの情熱は消えた。

それまではただひたすら目の前の目標に向かっていたから

突然無くなると、自分も無くすかのように

歩く、道がなくなったかのように

ただそこで、立っているだけのようだった。

なにをしたらいい、なにがしたい、なにができる。

これまで、自分から逃げていたボクは

生まれて初めて、自分自身を知らなくてはいけなくなった。

出来れば知りたくない。

なぜなら、なにもないからだ。

学校もちゃんと行かなかった、友達もめんどくさがって作らなかった。

彼女が出来ても、出来たら満足してすぐ飽きちゃう。

ダメ人間だとわかっていたから。

それでも、ボクはこれから自分で草をかき分け歩き道を作るしかない。と

それだけは強く感じていた。

ただ、どう進んだらいい何を持って行けばいい。

それがさっぱりわからないまま、気がつけば秋になってしまった。

いっそ、大学へ行ってしまおうか…。

「でも、行ったら負けな気がする」

心の主はそう言った。

ボクは「行けばなにか見つかる気がする」

と言う。

「見つけた気になるだけ、実際は何も変わっていないよ」

と心は言う。

「それならいっそ、留学か」

「日本で何も見つけられないのに、海外で何か見つけられるの?」

「確かに…」

「見つけたとして、戻った先はここ日本だからね。だったらどうせならまずこっちじゃない?」

心の声はいつも、正直だった。

問題は、ボク。

わかっていても、わからない。

いつかなんとかなると、いつもそう思っているから。

いつまでもなんとかならない。

けど、そんなこともわかっている。

わかっているんだけど、今のボクじゃどうしようも出来ない。

でも、実際は出来ないとは思いたくない。

出来れば、なんでも出来ると自分を信じて戦いたい。

でも、負けるのが怖いし負けたくないから

戦わない自分がいて、マジ最悪。

どうしたらいいのかわからないまま、冬を迎えてしまった。

ほら、またこうして気がつけば時間が経ってしまった。

ボクと言う人間は、なんのためにいるのかさえ最近は疑問に思う。

いま、なんのためにここで生きているんだろう。

さっぱり、自分がわからない。

ボクはいったい誰。

そもそも、ボクって?

だれ。


アーカイブはこちら。
小学生篇
中学生篇
高校生篇
大人篇

Tag

Writer