for me myself and I

the UNKNOWN #8

for me myself and I

Contributed by Miyu Fukada

People / 2024.01.31

心の片隅でずっと恋焦がれていた場所、南米。その地に惹かれ続けた理由を確かめるべく、写真家Miyu Fukadaさんが再び当てもない旅に出た。はじめて訪れる地で過ごす、まだ誰も予測できない出来事をリアルタイムでお届け。

#8


1/22 DAY15



朝からペルーでトレッキングをオーガナイズしているペルー人とやり取り。4日のトレッキングで250USD、最終日にはマチュピチュも含まれている。マチュピチュに行くのには入場券的なものが必要でパスポートの写真が必要だそうだ。何年も前からあのマチュピチュのエネルギーを感じてみたかったが、もうすぐだ!

カーニバルは行きたかったけど、宿を探すのも一苦労だしポルトガル語に慣れてきたとはいえ、やっぱりサンパウロとはアクセントが違く何を言っているのかわからないことも多く、言葉の壁は大きく感じた。あともう一つの理由は、「自分の為の旅」をしようと思ったことだった。旅をして写真をとって記事を書くということを仕事にしていると、無意識にネタになりそうな人、出来事、場所に行こうとしている。でも今回はあらかじめ決まっている仕事はこの連載だけだから、本当に自分が行きたいところに行こうと気づいたのがきっかけ。とりあえず今はまだ仕事のために動くとかネタではなく、自分が行きたいところやりたいことを優先にしようと。今の自分は何を欲しているのかと自問自答したら静かなところだった。カーニバルが連日カオスになるのは目に見えていてそのテンションに自分を持っていけないのは薄々感じていた。20代前半なら突っ走れたかもしれない。カーニバルは毎年行われている。見たかったらまた戻ってくればいい。でもペルーのトレッキングはタイミングな気がした。

というわけでブラジルとは予想よりはるかに早くお別れすることにして、次の目的地に頭はシフトした。

ブラジルでの残りは明後日から行くMacumbaというサーフスポットに1週間ちょっと、サーフィンを存分に楽しもう。

昼過ぎには家を出てリオローカルに教えてもらった写真屋さんへ。なんと今日中には出来上がるという。よかった。

写真屋へ行く途中に立ち寄ったランチのお店がとてもよかった。2階にある店内には地元のおじちゃんとおばちゃんたちが働いていて、先に注文をして、会計を済ませ席に座るスタイルだった。私たちが頼んだのは鳥のローストと、付け合わせに芋。おばあちゃんの台所と言った感じで美味しかった。そして値段も地元価格。ブラジルはおかずとしてご飯とほぼ必ず豆の煮込みがついてくる。それが腹持ちをよくしてくれるのか、1人で一つだと腹パンになりすぎるので2人で1人前をシェアすることにした。それで正解。

午後は晴れ間が出てきたのでイパネマビーチへ。ここのビーチは本当に波が高い。午後になると潮の関係で波がさらに高くなるようで、今日もショアブレイクがバンバン割れていた。こないだよりもサーフィンがしやすそうなまとまった波も割れていたけれど、明後日からサーフィン三昧なのであおずけとし、持ってきた現金でカイピリーニャを飲むことにした。







1/23 DAY16



朝からずっと雨。

ブラジルのコーヒーは日本ではよく見かけるのに、こっちに来てからというもの、なんかインスタントみたいなコーヒーしか飲んでなくて、いまいちだった。スペインでは毎日コーヒーを飲んでいたのに、この数週間全然飲んでいなかったのでマップで調べてちゃんとしたラテが飲めそうなお店を見つけて行ってみることに。
歩いている間にも雨足が強まり、お店に着いたらまたザーザー降り。

肝心のコーヒーは美味しく、ちゃんとしたラテも飲めた。
でもブラジルではサードウェーブブームはまだそれほどなくて、なんだか本当に昔のバリみたいな感じだ。

雨がなかなかやまないので外の様子を眺めていると、向かいの歩道を歩いていたおじいちゃんがいきなり転んだ。3秒もしないうちに3人くらい人が集まり、尚且つそれに気づいた車も止まっておじいちゃんを助けている。おじいちゃんはとりあえず大丈夫そうで、助けに来たうちの1人と一緒に道路を渡って行った。日本の都会ではなかなかみない光景。でもこれが本来あるべき姿なんじゃないだろうかなんて考えさせられる出来事だった。

それから現像に出したネガをとりに写真屋さんへUberで向かった。
もうその周辺の道路は洪水状態で、深いところではふくらはぎの下くらいまで水に足をつけながら歩いている人もいた。道路も混雑。イパネマ最終日、海に行きたかったけれどいけず、雨を眺めながらのんびり過ごした。







1/24 DAY17



今日は彼がバルセロナに戻る日。お互い初めての場所に一緒に旅してきた親友みたいな彼。ひとまずしばしの別れ。寂しいな。初めての場所に行き感じたこと、食べ物の美味しさやその他色々をシェアできるバディがいることは最高なんだな。ひとり旅、ふたり旅それぞれの良さがある。今しかないと感じてこのタイミングで南米に来たこと、今日からひとりで少し寂しいけど仕事や何も関係なく全てタイミングに任せて今までよりさらに行き当たりばっちりな旅になるだろう、とか空港へ向かうUberに乗る彼を見送った後、ビーチまでの道のりでそんなことを考えていた。

イパネマの左端、アプロバドールはここ1週間で一番波が良い。地元のサーファーが次々と入水していて混雑気味。ビーチブレイクだけど今日は緩やかに割れていてそれでもセットは頭くらいのサイズ。やっぱり海はいいなあ。

昼前に次の目的地Macumbaへ到着。エアビーにチェックインより早く着いてしまってホストと連絡が取れなくて焦ったけど、家をピンポンしたら奥さんが入れてくれてとりあえず荷物を下ろしてビーチへ。波は大きい。普通に頭はある。予想通りホストのおじちゃん(多分おじいちゃんだと思う)は波乗りしていて昼過ぎに帰ってきた。お手伝いさんは明日来るらしくベッドシーツを2人で交換。キッチンも使っていいと聞いたので近くのスーパーへ買い出し。でも売っている野菜もしなびてたり食材が日本やスペインと違いすぎて何を作るか全く思いつかない。玉ねぎとピーマンとソーセージ、トマトソース、パスタを買って歩いていたら家の近くで友人のベンとバッタリ。ベンはアメリカ人で今はサーフィンの大会でMCを務めている。ちょうど2週間前まだサンパウロにいた時、彼とバイバイしたあとはどこに行こうか考えていたらブラジルに私がいるとインスタで知ってここMacumbaがいいよと教えてくれたのだった。行くとは伝えたけどまさか海でバッタリ会うとは! チームは違うけど東京オリンピックのサーフィン会場で一緒に働いた以来の再会だった。海からちょっと内陸に入ったホステルに泊まっているらしい。ディナーに招待してくれた。天気も小雨が降ったり止んだりパッとせず気づいたら寝ていて起きたら17:30 ビールを買ってベンのところへ向かった。今日のメニューはボロネーゼとナスのパルミジャーノ。美味しかった。ご馳走様でした!







1/25 DAY18



朝起きてとりあえず波チェック。サイズはまあまああるが掘れていないのでゆるゆる割れていて楽しそう。昨日よりもまとまりがある。家に戻るとホストのCyro(シロ)が愛犬サニーと散歩に出るところだった。娘の旦那さんのロングボードがあると、見せてくれた。あまり乗らない9’2のトライフィン。持った感じは重さもあり乗りやすそう。もう一度海まで歩いて波を観察し、家に戻りリビングにいたシロにやってみる!と伝えた。板を担いで一緒に海まで歩く。さすがここのローカル、色んな人に挨拶をするし声をかけられる。波が大きい日はサーフフォトグラファーが数人、三脚とカメラと一緒に海沿いにポツポツといる。パドルアウトしやすそうな場所まで歩き、いざ入水。海で会う人に「Bon dia!」と挨拶をしながらパドル。入って間もなく目の前にいい波が来た。初めての板で少し緊張したけどスルッと乗れた! かなりロングライドしてあーたのしいと思っていると目線の先にはシロ! 私が波に乗ったのを見て「いい波乗ってるね〜!」と声をかけてくれた。 起きに戻るとさっき挨拶したおじさんたちがポルトガル語で話しかけてきた。「いい波だったね! ここで入るの初めて? どこから来たの? 名前は?」 「ありがとう! 今日ここで初めてサーフィンしたよ! 日本だよ、Miyuです」 と返すと、「日本!! 反対側じゃないか! いい波乗ってたね! ナイス!」 と返ってきた。 それで気づいた。 そっか、今自分は日本の反対側でサーフィンしてるのか。ブラジルに来た時から反対側にいる感覚はなかった。 ただシンプルに同じ人間だなということの実感の方が強かった。 でもなんだか地球の反対側でも日本でやってることと同じことをしてその楽しさを反対側に住んでいる人たちと共有できるのって嬉しいな! ここには来週の金曜までいる。思う存分に海と遊んで楽しもうと思った。

波待ちしていたらウミガメがひょっこり海面に浮かんできてた。サーフィン中にウミガメに出会うなんてなんかラッキー!

午後はベンが新鮮な野菜やフルーツを売っている地元のスーパーに連れて行ってくれた。昨日行ったスーパーとは全く違い、果物や野菜が生き生きとしていた。そこでバナナ、マンゴー、おくら、ミニトマト、ニンニク、ローズマリーをゲット。安い。不思議なのはこんなに暑い国なのにそこらじゅうで苺を売っていて、しかも安い。今までみたことのない野菜も売っていた。

ちなみに、家には

9歳のおじちゃんラブラドールのサニーとふわふわ猫のドラがいる。サニーは犬臭いんだけどたまにボールで遊んでシロが家を出ると一階でずっと待っている。美猫のドラは自由、すごく甘えん坊で撫でて〜とゴローンとお腹を見せてくる。2人とも可愛い。







1/26 DAY19



朝起きて海まで波チェックがてら散歩。海までは30秒ほど。このエアビーを見つけられて本当にラッキーだと思う。ビーチフロントには多くのコンドミニアムが立ち並び、値段はこのエアビーの2倍以上。今日は風が強い。昨日の久しぶりのサーフィンで筋肉痛。天気も雨が降ったり止んだりなので休息日。昨日買ったマンゴーとバナナを食べた。バナナを食べてびっくり。味が濃い!

天気が不安定なので今日はダラダラとのんびり。ご飯を作るのも面倒だったので家の近くにあるビュッフェへ。ここは重さは計らず一回25BRL(日本にして800円弱)。その場で食べるには食べれる分しかよそえないけどテイクアウトにしたら容器いっぱい入れられるよな。次回からはテイクアウトにしよう(笑)。







1/27 DAY20



筋肉痛も昨日何度も塗ったCBDバームのおかげで少しは改善した。

ずっとコーヒーを朝飲みたかったんだけどなかなか聞けなくて、今朝やっと家にあるコーヒーを飲んでいいか聞けた。「Ola Yumi!」とシロ。2日前(着いた日の翌日じゃん(笑))からなぜだか私の名前はユミに変わっていた。訂正するタイミングも逃したし、まあここではユミでいっか!


今日は土曜日。週末だけあってやっぱりいつもより人が多い。波は良さそうなので早速着替えてビーチに行くと風向きがオンショアに変わって波の見極めが難しい。入っても2日前と全然違い波のパワーがない。まあ、のんびり待とうと思いながら1時間以上経って人も減ってきた頃波が少しよくなってやっと一本乗れた。太陽がないからちょっと寒くなって、もう一本乗って上がった。ま、こんな日もあるな。海にいるおじちゃん達は「今日の波はイマイチだなー 乗れると思ったのに乗れねーよ! 全く〜」とそれぞれに波の感想を言っていてこういう光景はなんら日本と変わらないから面白い。

2時間以上海にいたのに2本しか乗ってなくてパドルばっかしてへとへと。家に戻ってシャワーを浴びて、再びビーチでダラーっと寝転んだ。コーヒーとバナナしか食べてないからお腹はぺこぺこ、クラクラする。家と海のちょうど間にある海の家みたいなところへ行くことにした。ビールと魚のフライを頼む。ふう。やっと落ち着いたー。ビール2杯目を頼み、帰ろうと思ったらあれ財布がない! 家に忘れてきたみたいで、「家に忘れてきたからとってくる!」と伝え貴重品の入った持ち物を渡して家へ財布を取りに行き、すぐ会計をしに戻った。ビーチに行くからと財布を持ってくるのをやめたことをすっかり忘れていた。

話は全然違うけど、サンパウロでアタリが教えてくれたのだがこっちの女の子はわざと水着の日焼け跡をつけるのがトレンドらしい。確かにサンパウロでもベアトップを着ていて、そこからビキニのヒモの日焼けがくっきり付いている女の子を見かけたし、リオに来てから日焼け跡は普通にある。私が住んでたスペインだと、水着の後をつけないようにトップレスになってる女の子達が多い印象。日本でもなるべく日焼けしないように、もしくはくっきり跡を付けないように意識してる子が多いんじゃないかな? 行く場所によって日焼けの文化が違うのが印象的だった。







1/28 DAY21



7:30過ぎには波チェックへ。昨日の風はどこへやら、めっちゃいい波! しかもいつもは波が大き過ぎて人がいないポイントにも波のサイズが落ち着いたのと、多分日曜ということもあってすごい人。やっぱり一番アウトにはローカルのおじさんばっかりで5人くらい一緒にパドルするけど獲得できるのはライトとレフトの波1人ずつ。みんなうまい。

割れるピークはいっぱいある。ロングライドできるからと行って乗り過ぎて、出るのに一苦労。いつもポイントブレイクで甘やかされているからだ。それでもようやく乗れて、最後にもう一本乗って帰ろうと思ってテイクオフしたら少し滑ってからバランスを崩して落ちた。その後に波が割れて板がビーチの方へ引っ張られ勢いでリーシュが切れた。あーあー。流れた板をボディーボードの男の子が捕獲してくれていた。ありがとうと伝えて上がった。疲れたー。ここ数日頭がモヤモヤしてて、それがサーフィンにも顕著に現れたみたいだ。久しぶりに朝から晴れて景色もよく、最高な日曜なはずなのに何かがおかしい。

海からみたビーチは、日曜なだけあってすごい人。その様子を確かめに海から上がり、シャワーを浴びて繰り出した。パラソルとビーチベッドひしめくビーチには主にアフリカ系ブラジル人ファミリー達が沢山いた。海の目の前はコンドミニアムが立ち並ぶが、内陸へ徒歩10分くらい歩くと彼らの住んでいるエリアがあるのだ。今日に限ってはイパネマでもよくみた垂れ流しのシャワーも登場。ビーチウォークエリアにはアサイやパステル、ココナッツ、ソーセージとチーズの串焼きなどの移動式のテキ屋がもいっぱい。それぞれ思い思いの日曜を過ごしているようだった。価格は割と庶民的。その中をカメラと一緒に歩きながら写真に収めた。ブラジルは雰囲気がドミニカ共和国に似ているところがある。昔のContainerを読んだ人なら知っているかもしれないが、ドミニカ共和国では写真を撮っているとわかるとすごい怒鳴られた。みんな顔を隠すか、最悪な場合"Hijo de puta!!"などと罵声が飛んでくるので写真を撮るのに一苦労した。ブラジルはそんな感じではないのにトラウマなのかコソコソと写真を撮った。自分って本当に内気だなあ。

モヤモヤの原因がわかった。1週間くらい前にある媒体にこの旅のことを書かせてもらえないかとメールを送ったけど返信が何もないからだった。媒体のwebにはアイデアある人ウェルカム! みたいなことが書いてあったのに何も音沙汰がない。それから自己肯定感がすごく下がってしまってこの旅に興味ある人なんていないんじゃないかとか、自分の旅のスタイルってなんだっけとか、なんで旅してるのかとか ずっとぐるぐるぐるしていたのだった。
とりあえず自分の望み、本当にやりたいことをノートに書き出すことにした。
 



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