フォースでスクラッチを当てるんだ。

えもーしょん 高校生篇 #13

フォースでスクラッチを当てるんだ。

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.02.12

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#13
「フォースでスクラッチを当てるんだ。」
(2013〜2016/カイト・高校生)

気持ちよく、寝ていると

ピーンポーン、ピーンポーン

家の、インターホンが鳴った。

いや、まだ寝る。

と、居留守を使っていると

ピーンポーン、ピーンポーン

ピーンポーン、ピンポン、

ピンポンピンポンピンポンピンポン

んだよ!!!うるせーーーー!!!!!

寝ぼけながら、はーい

と、玄関を開けると

そこに、いたのは

ケンだった。

はぁ。

こりゃ、もう寝れないな…。

「なに、どうしたのよ」

「当たったんだよ!宝クジ!!!」

「うん、知ってるよ。さっき聞いたよ」

「違うよ!当たったんだよ!」

「いや、だから知ってるよ!!!」

「聞け!!!!!!」

「お、おぉぉぉおぉぉ」

「当て方が、わかったんだ。」

やばい、やつが来た………。

「頼むから、おれの話を聞いてくれ」

「わかったよ、はい。」

「いや、ここじゃ、ダメだ」

「ん?」

「これは、もしかしたら狙われるかもしれない」

「お前、何したの!?」

「ここでは、ダメだ。」

「いや、お前、本当に何したの!?」

「誰にも聞かれない、場所で教える」

「逆にこえーわ!」

「ボク、大丈夫!また学校で会おう!」

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、」

「いや、いや、いや、いや、」

「わかった!わかった!話すから!」

「まず、家に入ろう」

どうぞ、とケンを家に入れ

さっきまで、よだれを垂らして寝ていた

ソファに案内した。

「かいと、まず、よく聞いてくれ」

「うん、わかったよ」

「おれは、見つけたんだ。宝クジの当て方を」

「うん」

「おれは、あの後本気で考えたんだ、どうやったら宝クジが当たるのかを」

「まず、普通の宝クジはダメだ。」

「あれは、買う人が多過ぎて倍率が高い。」

「だから、狙うはスクラッチだ」

「うん」

「スクラッチは、売店のおばちゃんが何枚かの中から、選ばせてくれる」

「っていうことは、その何枚かの中に
必ず、当たりがあるって事だ。」

「たがら、宝クジよりは倍率が高い。」

「ほぅ。」

「そこでだ、次に必要なのはその中から
どれが当たりか見極める事だ。」

「ゲームカードのホログラム入りを当てるのとは訳が違う。」

「ほぅ」

「おばちゃんが見せてくれるスクラッチは触ってはいけない」

「だから、感じなければいけないんだ」

「う、うん」

「いや、これを聞いてやばいやつとは思うけれど」

「これは、まじなんだ。」

「街中で、ビビッと感じる時あるだろう。
女の子を見てさ」

「あれが、あるってことはスクラッチにもあるはずなんだ」

「まじか、ケン。」

「まじだ。」

「1回、病院行く?」

「いや、おれはまじだ」

「まじで、行く」

「いや、おれはまじだ。」

と、ボクは

お金ない病の末期を見ているかのようだった。

「かいと、お前フォース使えるか?」

終わった。

ついに、ケンは終わった。

「今、終わった。って心の中で言っただろう」

「え?」

「ケン、まじ?」

「ましだ。」

「おれは、証明したんだ」

「これを見てくれ。」

と、10万円が当たった

スクラッチを見せてくれた。

「おれは、まずこのスクラッチを当てたんだ」

「まぐれかと思って、次もやったんだ。」

「それが、これだ」

本当に、2枚当てていた。

「ケン、まじか!!!」

「そう、かいと。まじだ」

「おれは、フォースが目覚めたんだ。」

続く…


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