旅に出よう。

えもーしょん 中学生篇 #11

旅に出よう。

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / feb.03.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#11 「旅に出よう」
(2010〜2013/カイト・中学生)

反抗期の旅ほど清々しい気持ちで

家を出る事はない。

旅の前はだいたい

ガスの元栓は閉めたか

窓は閉めたか

ブレーカーは落としたか

いや、まてよ。

玄関の鍵はかけたか?

何かしら、家に戻りたい

理由があるもんだ。

反抗期は、自分を中心として

世界が回る不思議な時期。

それなのに

いざ、目的地にたどり着くと

なんとも言えない、孤独感に襲われ

寂しくなってしまう。

それは

わがままに、アンチに、ロックこそが人生だ

と、トンがった代償だろうか。

ボードを抱え

リュックを背負って

スケボーを持って

旅をする。

飛んだり、走ったりして、旅をする。

ボクの、旅は大体

目的の為の旅だ。

毎週末はどこかで大会があって

そこへ向かう、大会会場から次の会場まで

家に帰らず向かうことだってある。

いくつもの、県をまたいでは

高速道路を走る、車の中で

その先の、ポイントの波情報を見る。

波がいい場所に立ち寄り

サーフィンをして

スケボーをして

ご当地ラーメンを食べて

目的地へ進む。

こんな、毎日を過ごしていた。

たまには、何もない

何かを見つけに行く旅をしたいなぁ。

そんな事を考えていた。

ある日

その日は、久々に家にいた。

相変わらず、家の目の前の

学校へは行かず

お昼過ぎまで眠る、ステキな日々。

キーンコーンカーンコーン

学校のチャイムが聞こえ

「やばい!!!寝坊した!」

と、焦りベッドを飛び出し向かう。

その先は、リビング。

午後のロードショーが、始まってしまう。

いつも、すこし古い映画が流れる。

冒頭3分、つまらないのか

楽しいのか、ワクワクしながら見る

映画達が好きだ。

それに、真昼に家のソファに沈み

テレビを見る優越感がたまらない。

外では、鳥が鳴き

ヘリコプターの音が遠くで聞こえる。

救急車の音、車の音や

トラックの音が心地よい。

「みんな、働いてるなぁ」と

思いながら、午後のロードショーを見る。

幸せだ。

今日も始まった。

B級映画感が漂う

冒頭3分。

よくわからない、街並みの映像。

中途半端に画質が悪いところが

またいい。

ソファと、緑茶。

じゃがりこと、スコーン。

ステキな組み合わせだ。

今日の映画は

ある、青年が彼女に振られ

自分探しの旅に出る映画。

ざっとそんな映画。

まだ、誰も知らなかった。

この映画の恐ろしき

ボクへの影響力を。

続く


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