序章

the UNKNOWN #1

序章

Contributed by Miyu Fukada

People / 2023.12.18

Containerやanna magazineでもお馴染みの写真家Miyu Fukadaさんが再び旅に出た。今回の目的地は南米。はじめて訪れる地で過ごす、まだ誰も予測できない出来事をリアルタイムで綴ります。

#序章


バックパック初心者



出発4日前。
本当だったら今日11月30日の夜に出発する予定だった。
ほぼ1ヶ月前に11月の最後の週末に写真展をすることが決まりカレンダーを見直してふと気づく。展示が終わってから3日で準備はキツイな。
荷造りはもちろん、それよりも心の切り替えと準備に時間が足りない気がした。
というわけで展示終了から1週間後にチケットをずらし今に至る。
展示の片付けを終えて、パッキングの準備に取り掛かった。
スーツケースか、バックパックか。行き先は南米。南米=ジャングル みたいな勝手なイメージでやっぱりスーツケースをガラガラ引くのはよっぽどのリッチな旅でタクシー移動、運転手付きじゃないと無理だろう。答えは出てるのに悩んだ。
旅に出るたび、10kgのカメラバックを背負うだけで肩がゴリゴリなのにバックパックに全てを詰めて歩き回るなんて。
今回は夏終わりに日本へ帰国した際のチケットの復路でバルセロナに戻り、来年1月にブラジルへ出発する。
1月でスペインのワーホリのビザが切れる彼と一緒にブラジルはサンパウロへ行き、2週間後からは1人バックパッカーが始まる。1人になってからの予定?
もちろん何にも決まってないし決めていないし、決められない。
今まで苦手で避けてきたバックパッカー。あと、もう見た目でバックパッカーと決めつけられる感じに何故か抵抗かある。
とりあえず、家にあったノースフェイスのカメラ用インナー付きのバックパックを引っ張り出す。
ちょっとカビ臭い。綺麗にして天日干しにしてバックを眺めてみたが……やっぱこれで数ヶ月は無理だろ!! 
急遽ネットでバックパッカーはどのくらいの大きさを使うのか調べてみる。
やっぱり70Lかあ。。
家にあったノースのバックは40L。。そりゃ無理だわ。
出発3日まえに都内に用事があったので、渋谷にモンベルがあることを思い出しバックパックの調達へ行った。
75L入るのに重さ1.5kgという最適なギアを手にいれた!親切に対応してくれた店員のおばさんにどこへ行くの? と聞かれ、南米です。と答えると いいですね~気をつけていってらっしゃい! と激励の言葉をくれた。
新しいギアを手にいれ気分もアガる。バルセロナは日本より若干暖かいくらいの気温。そしてブラジルは30度越えの真夏。バルセロナの滞在は1ヶ月くらいなので最低限の冬服と、現地で彼の服を借りまくることにして、バックパックには夏物を詰めた。






トランジット



飛行機の左側の窓から真っ赤な朝焼けが見えた。乗り継ぎ先のミュンヘンに着陸体勢に入った直後だった。
実は、出発前に座席を2回ほど変更して、最終的にこの席を選んだ。
あぁ、左のままにしていたら写真撮れたのに。なんて思っていたら機体が向きを変え私のそばの窓から朝焼けが見えるようになった。よかった。
出発直前、ミュンヘンの空港は金曜、土曜と大雪で閉鎖中とニュースで読んだ。
日付を変えたのが甲と出たのか私のフライトには全く影響がなかった。ラッキー。
空はオレンジ、滑走路は青白いなんとも幻想的な景色だ。
この太陽はこの度の初日の出だ!
なんだか良い旅になりそうな予感がした。

初めてのミュンヘン空港。フランクフルトよりコンパクトで移動が楽だとネットに書いてあった。
なぜか東京ーミュンヘンの搭乗券はケータイに入っているのにバルセロナまでの搭乗券がアプリでも発行できず困っていた。
飛行機を降り、どうすればいいか係の人に聞くとセキュリティチェックを通ったらサービスカウンターがあるからそこで発券してくれるよとのこと。
早歩きでセキュリティチェックへ。かなりの列。しかもチェックゲートは2箇所しかない。自分のフライトまではあと1時間。
まあ大丈夫だろう。順番がようやく回ってきて、フィルムがあることを伝えるとこの機械はフィルムセーフだから大丈夫とのこと。
セキュリティを抜け先ほど聞いたサービスカウンターを探す。標識がわかりにくい。あたりを見渡しても見つけられない。また戻ってさっきのセキュリティに訊ねた。教えてくれたところに目をやると、長蛇の列。ここ連日の大雪でキャンセルになったフライトのせいだろう。列に待ってる時間はないので先頭の方へ様子を見に行ってみるとセルフチェックインの機械をを見つけた。搭乗券の発券を試みてみるが発券できず。ふと周囲に目をやるとサービスカウンターではない場所に小さなカウンター、ケータイをいじりながら座ってる係らしきおばちゃんがいた。航空会社の人ではなさそうだ。こんなに並んでるのにそこには目もくれずケータイいじってるなんて、と少しイライラした。気を取り直してお手隙か尋ねると「あら ごめんごめん、どうしたの?」と優しい返答。なんだ、優しいおばちゃんじゃない。端的に状況を伝えた。ゲートと搭乗時間を確認しもうそんなに時間がないから直接ゲートへ行くといいわと道順を教えてくれた。
「パスポートチェックを通ったら下に降りてゲートGへ行くのよ!」8:24だった。搭乗開始時刻は8:35。フライトは9:05発。
とりあえずGの文字を探す。Gを目掛けて進むといきなり消える。見えるのはA-E の文字。えーーー!どうなってるの! 1人で少しパニックになりながら来た道を戻るとパスポートコントロールらしき部屋を発見。薄暗い部屋で人が全然いなくて気づかなかったのだ。問題なく通過し、階段を降りる。「ゲートGは↓」と矢印がある。でも、下につくとまたGの文字が消えて、現れたのはバゲッジクレイム。また階段を上がり戻ろうとすると、「DO NOT ENTER」の大きな文字。戻れない。どうしよう?!?!?!?と焦りを感じながら再度階段を降りて左の方に進むとGの文字を発見した。
わかりにくすぎ! 進んでいくと、さっきいた空港より綺麗な空港に出た。そして先ほどと同じ発券機を見つけた。もう一度やってみる。発券できた。なるほど。搭乗券をプリントするというオプションを選ばなかったからさっきはできなかったんだ。謎が解けた。
搭乗券を握りしめ次は上に上がれと言うので上がるとまた手荷物のセキュリティチェック。また!? この空港は効率が悪い。
一回完全に外に出した後またチェックインさせるのだ。なんという手間。列はそれほど長くないものの、何回かはクネクネなっているのでこれを待ってたら確実に間に合わない。張り巡らせられたテープを潜って列の前に急ぐ。間に合わなさそうな時の裏技。並んでいた背の高いドイツ人らしきおじさんに搭乗券を見せて時間がないから入っていい? と聞くとまあしょうがないよ早く潜って早くいきな!と協力してくれた。私が列をスキップしたなんて周りはほぼ気づいてない様子。とりあえず荷物をトレイに乗せ、フィルムがあると伝え全部渡すと今度は向こうでチェックするからね!とのこと。よかった。荷物を通し、自分もスキャンされ、フィルムのチェックの場所へと急ぐ。紙のようなものでフィルムの入った袋を撫でて、機械に通すタイプのチェックだった。羽田空港でフィルムチェックをした担当は全部出して一個一個360度舐め回すように確認していて40本のフィルムをチェックするのに5分以上かかった。それに比べたら早くてありがたい。ささっとチェックは終了し、電光掲示板でゲートを再度確認する。
搭乗ゲートまでは徒歩6分。遠い。この時点で出発まであと15分ほど。フィルム40個とコンパクトカメラ4つとパソコンの入ったカバンを持ち早歩き。服の中は汗でびっしょり。でも今はそんなことより間に合うことの方が優先で間に合えばもうなんでもいい。歩くこと本当に6分くらいでやっとゲートに到着。到着後まもなくファイナルコールが流れた。ミュンヘンに着陸した時のあの気持ちよさはどこへやら。でも間に合ってよかった。





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