NIKE

えもーしょん 小学生篇 #46

NIKE

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / aug.24.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#46
「NIKE」
(2003〜2010/カイト・小学生)

秋へ進むボクは夏を終えたせいか

少し大人の気分になっていた。

「NIKEがいい」

8月の誕生日に

おもちゃでも、お菓子でも、スケボーでもない。

初めて、スニーカーが欲しいと頼んだ。

「なにがいいの?」

と、ママが言った。

「NIKEがいい」

と、ボク。

「NIKE!」

驚いた様子のママ。

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「NIKEはかっこいい」

スーパーで好きな女の子2人を見つけ

棚を挟んで、ずっと2人がお菓子を選んでいる様子を覗いていた。

すると、「NIKE…………」

と、お菓子とは全く関係のない

単語が出てきたので、最大限に盗み聞きをした。

「NIKEはかっこいいよね」

と、それだけは、確かに聞こえ

誕生日の夕飯を選んでいるママのもとへ急いで向かった。

「NIKEは、NIKEは、NIKEは」

2人の会話が頭から離れることは無かった。

そして、ふと自分の足元を見た

この時、初めて自分のお気に入りは好きなあの子の

一言によって一瞬で変わってしまうんだ。

と、少し寂しい気持ちもあったが

とのかく、誰かとチューしたいボクは

彼女の言葉を忘れることは無かった。

そして、家にあるスパイダーマンのNIKEでは

彼女達を振り向かせる事ができない。と悟った。

ならば、年に一度

すべてのわがままが曲がり通る、誕生日にお願いするしかない。

ママのもとへ行き

「NIKEが欲しい」と伝えた

「どのNIKEがいいの?」

と、ママが言った。

とりあえず、かっこよくて

モテそうならそれでよかった。

「なんでもいいけど、パパとは選ばないで」

この時からだ、パパのセンスは女の子にはウケない。と

ハッキリ伝えたのは。

爆笑するママと、少し照れているパパ。

そんな話を遠くから、2人が見ている。

絶対、あの2人はボクのことが好きだ。

この時、ボクは

NIKEを履けば、

2人とキスが出来る! と、そればかり

キス。

その時になれば、準備はバッチリ。

なんてったって、バローズと毎晩こっそり

練習しているからね。

優しいキッスをそっと♪

キミの首にそっと♪

手を回して♪

キミも手を回して♪

抱きしめて♪

とはいかなくても。

とにかくキスしたい2008

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