さぁ、かかってこい!

えもーしょん 高校生篇 #9

さぁ、かかってこい!

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.01.16

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#9
「さぁ、かかってこい!」
(2013〜2016/カイト・高校生)

さっきの、失敗は無かったことに

リーシュを手繰り寄せ

ボードをキャッチ。

迫る波を、ドルフィンしては

パドルをし

ふたたび、元の位置へ

右にいたおじさん達が

ボクの定位置に、移動してきているではないか

それは、面倒くさい。

こんなにも、天気がいいのに

試合のように、張り合わなくては

ならないのか。と思うと

帰りたくもなる。

まぁ、しかし

ここまでなら

彼らの信頼度は高いと、思ってもいい。

なぜなら

ボクの行動を見て、彼らは

動いているわけだし。

ここで、今日気持ちよく

サーフィンする為に

2つの選択肢が出てくる。

1、ボクが諦め、となりのポイントへ
移動する。

2、ここだけは、己を殺し
試合で使うテクを使用するか。

隣のポイントへ、移動するのも

あり。だが

それでは、どこか

自分が、負けたような気持ちなってしまう。

最近、負け癖がつき始めたボク。

「こんなところで、負けてたまるか」と

選択肢2を選び

ボクと、おじさん達の

戦いが、始まった。

ヒート時間は、そうだな

20分としよう。

マキシマムウェーブは10本

ベスト1ウェーブで、どうだ。

「魂かけて、かかってこ!」と

おじさん達に、眼圧を送る。

どこからか

MC声が、幻聴してくる。

MC「さぁ〜始まりました! KAITO2015!
ゼッケンレッドには昨年のチャンピオン
KAITO FUKUI選手!」

解説「今年は、どんなライティングをしてくれるのか、とても楽しみですねぇ。」

MC「そうですねぇ、ゼッケングリーンには
おじさんA選手! コスタ・リカからのエントリー!」

解説「コスタ・リカですか! ほぉ〜
この選手も、目が離せません。」

MC「そして、ゼッケンブルーには、おじさんC選手! ブラジルからのエントリー!」

解説「BではなくてC!! 何か、隠し球を用意しているのでしょうか。」

プォォォォォォォォォォォォン!!!

試合開始のホーンが

ボクには、確かに聞こえた。

この、フリーサーフィンの中で

小さな、小さな、戦いが

幕を開けた。

続く…!


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