お年玉の危機。

えもーしょん 小学生篇 #8

お年玉の危機。

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.01.01

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#8 「お年玉の危機」
(2003〜2010/カイト・小学生)

新しい、車に

にやけ顔のパパ。

その顔を見た瞬間

ゴォォォォォ

ボクの心の中で、何かが起こった。

怒りが、心をノック。

はい、どうぞ

ドォォォォォォォォォン!!!!!!!

戦闘モードにスイッチオン。

砂浜に着き

ストレッチをするパパ。

ボクもストレッチをするフリをして

気づかれない程度に

砂をかける。

海に入る。

パパよりも先にパドルをして

邪魔をする。

案の定、セットに巻かれるパパ。

しめしめ。

ははっ

なかなか、ハマって沖に出てこれない

パパを

沖から、笑って見ていた。

んふっ。

幸せっ。

パパが、波にのる。

ボクは、勝手に前乗りをする。

「おい!かい!」とパパ

追いつけるもんなら、来てみろ。

と、先に走る。

そんな事が2時間も続き

海を出る。

惨敗の文字がパパの背中に見える。

んふっ。

そうそう、その顔

悔しくてたまらないだろう。

ボクのプレゼントの仕返しだ。

しかし、そんな

至福の時間も、つかの間。

駐車場に着き

車を見ると、パパは

みるみる

元気になるではないか。

もう、無理ぃぃぃぃぃ。

なんなんだよ。ちくしょう。

あぁ、ボクのクリスマスプレゼント。

ボクのジングルベルはどこへ行った。

赤い鼻のトナカイもサンタクロースも

誰か、ボクのジングルベルを鳴らして…

ボク「はぁ」

そんなバッドクリスマスを過ごしながら

ある、不安を感じ始めた。

お年玉だ。

今の、ボクの主な収入源は

お年玉。

これがないと、大好きな

じゃがりこが好きな時に食べられない…

じゃがりこも、チョコチップクッキーも。

絶対、欲しい。食べたい。

もう、クリスマスなんか

どうでもいい。

お年玉だけは、何が何でも

もらわなくては…。

しかし、この

パパとの戦いを

ボクが諦め勝手に終わらせるのは

なんだか、悔しい。

さて、どうするか

パパ。

かなり手強いぞ。

続く


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