えもーしょん 大人篇 #70
ダメ男の中のダメ男
2016~/カイト・大人
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.11.13
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#70
「ダメ男の中のダメ男」
(2016~/カイト・大人)
あれは、18歳の時のお話です。
ボクは基本的にアルバイトを半年以上続けたことがなく
どんなに、お金がなくとも
来月家賃が払えないと分かっていても
ふと、「バイトに行きたくない」そう感じた時には
行かないんです。
ギャグじゃなくて、真剣なコンプレックスなんです。
「バイトに行きたくないから家賃払いません」
と、18歳の頃から意味のわからないことを言って
どうにか過ごしてきました。
そんな生活をしていると
次第にみんながボクを羨み始めました
なぜなら、自分もそうしたいけど出来ないからです。
そのまま、面白がってくれたらいいのに。
なぜか嫌うんです。
そして、引きこもり、ニート、鬱、と呼ばれるようになりました
が、そんなことは気にせず毎日ギリギリを意外と楽しんで生活していると
「あれ? あいつなんか楽しそうだぞ?」
と、周囲の目線がだんだんと明るくなり
いつしか「プロ」と呼ばれるようになりました。
まずは、「プロの引きこもり」と呼ばれるように。
この時はとっても嬉しかったです。
やっと引きこもりが認められたのだから
それから、「どうしてあいつは生活出来ているんだ?」
と、周囲の人たちが興味を持ち始めてくれました。
ここまで来ると、もうトンネルの出口が見えたようなもんです。
あとは、誰にも教えず続けるだけ。
そうして、ボクはプロの引きこもりを演じ続け
やっと、やっと、5年かかって「ダメ男」の称号を手にしました。
数々の著名人が手にしたこの
「ダメ男」というあだ名。
ボクは、彼らよりもさらに上に行きたいと考え
必死に、ダメダメ男になりました。
自粛期間中、ボクのダメ男生活を見ていた人が言いました。
「かいとは、本物のダメ男だ」と
ダメ男の中のダメ男がボクにそう言ったんです。
ボクは、思わず涙を流してしまいました。
「やっと認められた」と
みんなが、毎朝早く起きて仕事に向かい夜遅くに帰宅。
シャワーを浴びてベッドに入り
寝落ちする瞬間のあの至福のひと時を
ボクは1日中味わっているのだから。
最近わかったけど、寝る時間とボーッとしている時間が長ければ長いほど
いい絵が描ける。
が、売れないんだよなぁ~
売れたい。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!