インターフェイキー、出来なきゃダメなの?

えもーしょん 小学生篇 #13

インターフェイキー、出来なきゃダメなの?

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.01.29

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#13 「インターフェイキー、出来なきゃダメなの?」
(2003〜2010/カイト・小学生)

ボク史上、トップ3に入る

見事なコケ方をした。

だけど

ドロップインのコツは何となく掴めた。

これは、ビビっちゃダメだ。

サーフィンと違って

スケートは、コケると痛い。

水じゃないから…

だからなのか、いまいち

振り切れない…

やっぱり、心のどこかに

恐怖がある。

わかった。

パパはこの恐怖を捨てさせる為に

ここへ連れてきたのだろう。

ならば、出来るまで帰れない…。

帰らせてくれないな…

どこが、ゴールかわからないけれど

とりあえず、ドロップインは出来なきゃ

流石にボクも恥ずかしい。

「はぁ」

まだ、頭がクラクラする。

あ、でもこのままやれば

なんか出来そう。

次、ボク行きます。と

みんなに目で訴え

ボクは、もう一度トライする…

ふぅ。

さっきの失敗が

フラッシュバック……。

めげない、めげないぞ!!!

コーピングにボードをかけ

深呼吸。

よし。と勢いよく

ドロップイン!

踏み込むと、ほんの一瞬

浮いた。

しかしボクは諦めない

ふらつく足をなんとか抑え

見事、ドロップインは成功だ。

が、成功したはいいものの

次、どうすればいいか

分からず、反射的に

ターン。

もう一度、ターン

もう一度、ターン。

あれ、なんか以外と出来てるぞ。

ターンばかりでみんなの視線が

疲れてきたので

パパの元へ戻る。

「どうよ」とドヤ顔で。

パパは

「よし、インターフェイキー出来るようになったら帰ろう」

「インターフェイキー?なにそれ」

「あれ」

それは、ドロップインの勢いから

向こう側のコーピングに乗り上げ

そのまま、後ろ向きに

また、戻る。という技だった。

「いや、あれは今日じゃないんじゃない?」

「行ってこい」

はぁ。

ボクは、またランプへ戻り

みんなの、インターフェイキーを

じっくり見る。

確実に、インターフェイキーは

ランプで滑る場合

必要らしい。

隣に座るお兄ちゃんが教えてくれた。

コツは、力を抜く事。らしい。

「ありがとう」そう言うと

再び、コーピングにボードをかける

勢いよく、前足を踏み込み

いざ、向こう側のコーピングへ…!

と、そのままの勢いで

なんとか、乗り上げる。

ん、ん。ん…!!!

やっぱ無理ぃぃぃぃぃぃぃ!!!

乗り上げたはいいが

やっぱり、後ろ向きに戻るのが無理だ。

「パパ、インターフェイキー出来なきゃダメなの?」

「いや、あれはやめたほうがいいな。帰ろう。」

流石のパパも、自分なら嫌だ。

そう、思ったのだろう。

よかった…。と一安心。

パークの出口で自転車に乗ると

パパが言った

「また、明日だな」

続く


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