不思議な習慣

えもーしょん 中学生篇 #56

不思議な習慣

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / oct.26.2020

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#51
「不思議な習慣」
(2010〜2013/カイト・中学生)

カッチカチに固かったボクの学ランのカラーも

気がつけば、柔らかくなって馴染んでいた。

もう、何ヶ月もめんどくさくて洗ってないスラックスは

いつかのケチャップがついたままだ。

そろそろ、冬になるから冬服を引っ張り出さなきゃ。

お気に入りのカーディガンも、この冬がきっと最後だろう。

名札をつけていたところは穴が広がって伸びているけどそれがいい。

ボクが通っている中学校では

付き合ったカップルが名札を交換して

セーターやカーディガンに裏返しにつける習慣がある。

ある日、冬服に変わった学校で学年で一番モテていた友人とすれ違った。

彼のセーターにいくつもの裏返した名札がついていた。

ボクは、思わず「それどうしたの!?」と聞いてしまった

彼は、澄ました顔で

「彼女」と一言。

「か、彼女…!?」

1、2、3、4、5、6、7、、、、。

彼女何人いるんだよ! とつい言ってしまいそうになったが

それよりも、そんなに自分の名札を持っているのか? と疑問に思った。

いくつも彼女たちから名札をもらっても

彼自身の名札は一つしかないはず…。

一体、彼はどうしているのか

「自分の名札そんなにあるの?」

「ん ?購買で作れるよ」

「な!?」

そんなことも知らないのか? とモテ男は言った。

なんと、購買で一つ¥300で作れるらしい。

こうなったら、作らないわけにはいかない。

彼女がいようといまいと

何人できるかわからないけど、その日のために10個は用意しておきたい。

この日から、モテ男とはセーターにジャラジャラと彼女の名札をつけることとして

学校に知れ渡った。そして、それはいつしかレベル分けまでされた。

同い年の名札なら、まぁ少しモテるくらい。

年下の名札は、ちょっと異端児的存在。

先輩の名札を三つもつけた時には、神7入りが約束された。

すでに、学年ごとのカラーで自分の名札を持っているボクは

恥ずかしいけど、みんなにバレないよう

沢山の自分の名札をつけることにした。

翌日、ボクを見たみんながザワついた。

なぜ? なぜカイトが?

そう思っているに違いない。

モテ男神7に入ったボクを見る女の子の目は

キラキラしていた(多分)。

男子更衣室で名札を落とすまでは…。


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