えもーしょん 小学生篇 #16
ミステリアステリアス。
2003〜2010/カイト・小学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.02.25
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#16 「ミステリアステリアス」
(2003〜2010/カイト・小学生)
小学2年生の、夏休み
ボクは、初めてインフルエンザになった。
それも、かなり重症。
病院へ行く
3日前のある日
その日は、台風が近づいていた
テレビに映る、リポーター
どうやら、南の島にいるようだ。
「こちら、〜です!物凄い風と共に雨が強まって来ました!近隣の高齢者の方々はこちらに見える防災センターへ避難しています!」
なんとも、大袈裟な。
リポーターの、渾身の演技よりも
その、後ろに見える
海の方が、気になっていた。
「あ、波いいな」
彼らは、失敗した。
こんな、台風のニュースを見て
テンションが上がるのは
恐らく、サーファーだけだろう。
彼らが、中継場所に選んだのは
湾になっている、海岸だった。
それじゃあ、ダメだ。
湾になっていたら、波のうねりが
弱くなってしまって、それに
風の影響も、少ないことが多い。
案の定、渾身の演技を披露している
リポーターの後ろには
面ツル、三角波が見える。
波情報で言えば
サイズ : 肩から頭
風 : オフ
人数 : 0人
星3つ
だ。
可哀想に。
彼らが、中継を終え
帰り支度をしている頃には
海は、大混雑になっているだろう。
全国のサーファーに向け
パーフェクトな波情報を
それも、無料で伝えたのだから
2、3日は、大混雑だろう。
「こちらからは、以上でーす!」
と、リポーター
「はーい、ありがとうございます。くれぐれもお気をつけくださいー」
と、スタジオのアナウンサー
いつも、外れる
〇原さんと、〇〇ジローが
天気を伝えている。
もう、半分…
いや、むしろ
何年間も、天気図を見て
海に入り、実際に
天気の変わり方を見て感じている
ボクの方が、2人よりは当たる自信がある。
信じてはいないが
「聞いてやろう」
と、ボク
「台風は、これからさらに勢力を増して関東地方に近づいて来ます!」
と、〇原さん
「いや、海側通ってるんだから見りゃわかるだろ」
と、隣に座るパパが言った。
「沿岸部は、高波に注意してください!」
と、〇原さん
大袈裟な。と思っていたが
近年、稀に見る
爆弾台風だそうだ。
実際、まだ
こんなにも、遠くにいるのに
湘南は、波がみるみる
上がっている。
もう少し、南の
小田原の方
海沿いの道は
通行止めになる事が決まったみたいだ。
それくらい、みんなも警戒している様子。
「楽しみだなぁ」
と、ボク
「デカ過ぎたら、水族館前に行こうな」
と、パパが言った。
そう、ボクの家の前のポイントは
台風になると、クローズ。
もう、それは
酷いこと、ぐっちゃんぐっちゃんになる。
けれど、江ノ島の方に
水族館があって
そこの前は、少し湾になっているせいか
波が綺麗に割れる
それに、少しサイズも小さくなるのだ。
素敵な、夏休みになる!
ハズだった…
次の日の、朝
「海行くぞー!」
と、パパが起こしに来た
「はーい」
と、寝ぼけながら
ベッドを出る
ん?????
なんか、腰に違和感が
変な寝方をしたのか。
と、それほど
気にはしていない。
海パンに着替え
ボードを持って
家を出る
朝から、物凄く暑い日だ
道路の、マンホールで
目玉焼きが作れそうな、ほど。
海には、海水浴に来ている
家族が、沢山
波打ち際からは、
「きゃー!きゃー!」と
夏の音がする。
砂浜には、沢山のテントが
BBQを楽しむ人も
ビーサンを置いて
ストレッチをしていると
やっぱり、違和感がある。
暑い、暑い、物凄く暑い
けれど、ずっと寒い。
鳥肌が止まらない。
なんだこれ
海の水が冷たいせいで
冷気が、こっちに
吹いている。
それしか、ボクには
考えられない。
リーシュをつけて、海に入る
続く
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!