FREITAG CEO INTERVIEW
ねえ、FREITAGのこと知ってる!?
CEOオリバー・ブルンシュウィラーがやってきた。
Photograph: Saori Tao
Text: Kana Mizoguchi
People / 2019.11.28
みなさんは、FREITAGをご存知ですか?
FREITAGは、トラックの幌を再利用したメッセンジャーバッグなどで知られているバッグブランド。2018年よりクリエイティブディレクター兼ストラテジックプランナーとなり、10月にFREITAGのCEOに就任した、オリバー・ブルンシュウィラーが東京にやってくると聞き、すぐにアポを入れました。
1993年にフライターグ兄弟の手によって始まったこのブランドをCEOに就任して間もないオリバーはどう感じていて、サスティナビリティが大きく取り上げられるようになったこの時代において、ブランドとして未来をどんなふうに見据えているのか、ぜひ聞いてみたいと思ったのです。
FREITAG 渋谷店を訪ねると、すぐにオリバーが笑顔で駆け寄って迎えてくれた。少し緊張していた取材班の空気が一気に和みました。「何でも聞いて」という彼の優しさに引き込まれるように、ふわりとインタビュースタート。英語が苦手な私の方をまっすぐに向きながら、オリバーはゆっくりとひとつひとつの問いに、とてもていねいに答えてくれました。
Q1. オリバー自身の感じるFREITAGの魅力って?
ひとつはブランドの背景にある「ストーリー」。いわゆるサステナビリティのことが取り上げられることが多いのだけど、もともと二人の兄弟が、丈夫なカバンが欲しくて作り始めたのがきっかけだった。そういう小さなストーリーが、本当に魅力的だと思う。もうひとつは、やっぱりこのブランドがどんな時でもあらゆる価値の「サイクル」を考えてやっているということだよね。
Q2. フライターグ兄弟はあなたにとってどんな存在ですか?
もともと友達だったのだけど、今は「ヒーロー」だよね。(笑)(タイミングよくDavid BowieのHeroがバックミュージックで流れる♪FREITAGの本国のプレイリストが店内では流れている)
2人とも同世代の中でも特別にすごい才能を持っているのに謙虚。そんな人って、そんなにはいない。そんな2人と仲良くなりたいって、本当に思ったんだ。とてもユニークで遊び心のある人たちだから、やることすべてが本当に面白いんですよ。あ、でも、きっと僕よりも、ここで働くスタッフのみんなの方がもっと彼らの魅力を語れると思う。(笑)
Q3. FREITAGのプロダクトのファンってどんな人ですか?
FREITAGのコアなファンの方々を、僕たちは“コンシャスなアーバニスト”と呼んでます。限られた未来のあらゆる資源をリユースしようと考えている人たちのことなんだけれど、僕らはいつだって彼らのニーズに応えられるようなアイテムを作ってきたし、これからもずっとそういう存在でありたいと思っている。FREITAGのバッグもまた「有限な資源」でもあるから、誰もがそれぞれのプロダクトを心から大切に思ってくれているんだ。
Q4. 日本はどんな印象ですか?
日本の言葉で“侘び寂び”という言葉がありますよね? 直訳すると、「未完成の美しさ」かな。埋もれていた幌が美しい製品になって、使っているうちに味が出てくるFREITAGのバッグもまた、そんな「未完成の美しさ」的な価値観を持っている。そういった価値観を、すごく身近に感じるよ。日本とスイスの街はとても似ていて、人々が謙虚なところもそっくりだよ。
Q5. 日本の好きなところを教えてください。
すべてだよ! 食べ物もそうだし、何でもディテールにこだわるからだと思うけど、デザインも素晴らしいと思います。あとは携帯を落としても戻って来るところ。(笑)実はスイスも落し物が戻ってくるんだよ。さっきも話したけど、きっと国民性が似ているんだね。
Q6. 日本のFREITAGショップはどんな印象ですか?
ショップをオープンするときは、それぞれの街のデザインが違うので、街に溶け込んだお店作りを心がけてる。ここでも“侘び寂び”が関係するんだけど、もともとの空間の素晴らしい部分をできる限りありのまま活かしたいと考えている。例えば渋谷店なら、街の街灯の光をそのまま店内に活かしているんだ。トラックの幌を使ったバッグだから、ショップの中に実際に道を作って、明治通りとキャットストリートをシームレスにつなぐショップを作りたかったんだよ。
Q7. 12月にオープンする京都店はどんなコンセプトに?
今後オープンするお店には、バッグを売るだけじゃなくて、それ以上の価値を提供するっていうコンセプトを持たせていくつもりだよ。京都のショップの詳細はまだシークレット! ぜひ京都店のオープニングに来てみてよ。そして次号の記事に掲載して!(笑)(2019年12月20日に日本4店舗目となるFREITAG STORE KYOTOをOPEN予定)
Q8. はじめてFREITAGを持ちたいと思っている女性に、選ぶポイントを教えてください。
個性的なデザインだから、最初は小さいものから持ち始めるといいと思う。すべてが1点もので、同じものはひとつとして存在しない。だからたくさんの色と柄の中からお気に入りを選ぶなら、できる限り時間をかけて選ぶこと! 逆にこうしたほうがいいって意見はない? 商品開発に役立てたいんだ。
Q9. FREITAGの未来をどう考えていますか?
(店頭から持ってきたバッグを持ちながら)これは昔デザインしたモデル。で、こっちが最近発売したもの。トラックの幌を使った部分と、ここがPETボトルから作られた生地 (We aRe SpinDye®の非PFC過フッ素化合物類繊維)を使っている部分。いまは、PET部分のリサイクル率が100%なったんだ! しかも、化学繊維を使って染色する際、どうしても大量の水を使うのだけど、スビンダイという染色の工程で水を極力使わない最先端の染色方法に変更したことで水の消費量を10%まで抑えることができたんだ! 僕らはいつだって環境のことを最優先に考えているから、未来はすべてのパーツをリサイクルでできたらと思っているよ。
Q10. FREITAGはこれから、どんなブランドでありたいと思いますか?
まだまだ小さなブランドで、小さな会社だけど、株主も銀行もいなくて資金調達はぜんぶ自分たちでやっていているんだ。だからゆっくりと成長しているのだけど、そのプロセスの中で、いつでも若い人たちや「サイクル」のプロセスに新しいインスピレーションを与え続けていきたい。僕らの会社が成長していけば、もっともっとたくさんの人たちに素晴らしい影響を与えることができると信じてる。これがブランドのミッションだし、ぼく自身の人生におけるちいさな理想なのです。
渋谷店がどういうコンセプトで作られたのか改めて聞いてみたら、キャットストリートと明治通りをつなぐFREITAG STREETが、カラフルで個性豊かな商品たちで彩られた賑やかな「街の通り」に見えてきた。街灯の下を歩きながら、自分好みのものをじっくりと探し、ひとつひとつ箱を開けていくワクワク感はまるでウインドウショッピングのよう。これはどんな街を走ったトラックの幌だったのだろう。ブランドが大切にする「サイクル」によってクリエイトされたプロダクトとの巡り会いの偶然性は、本当に特別な出会いです。今や世界中で見かけるようになったこのブランドを、まだまだこれから大きくしたいと謙虚に、情熱的に語るオリバーの言葉に、心から共感しました。FREITAGの今後の展開が楽しみになりました。
https://www.freitag.ch/ja
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anna magazine
「anna magazine」は、ファッションからライフスタイルまで、ビーチを愛する女の子のためのカルチャーマガジン。そして、「anna magazine」はいつでも旅をしています。見知らぬ場所へ行く本当の面白さを、驚きや感動を求めるたくさんの女の子たちに伝えるために。