えもーしょん 高校生篇 #60
恐怖の50回告白事件 後編
2013〜2016/カイト・高校生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.11.06
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#60
「恐怖の50回告白事件 後編」
(2013〜2016/カイト・高校生)
更衣室から戻りバックに宿題を入れるみおちゃん。
「お疲れ様」と声を震わせ言った。
「あ、かいとくんまだいたの?」
と、優しい笑顔でみおちゃんは言った。
「うん、ちょっと探検したり」
「あ、そうなんだなにかわからないことがあったら言ってね」
あぁ、天使。
「購買ってどこにあるの?」
「購買ね、反対側の校舎なの」
「遠いね…」
「一緒に行く? ちょうど私消しゴム買いに行こうと思ってたの」
「え、いいの? 行く行く!」
「ちょっと待ってね~」
と、みおちゃんと2人っきりで校内デートのチャンスがやってきた。
これは、告白するしかない。男の直感がそう言っている。
お財布を持ったみおちゃんが戻り
「行こ~」と言った。
ボクらは、階段を下り職員室の前を通る。
「!!!!!!?????」まさにこの顔をした。
友人2人がボクとみおちゃんを二度見した。
ボクはこっそりウィンクし、歩く。
反対側の校舎には教室はなく、理科室や化学実験室、音楽室がある。
1番上の階の音楽室の横に購買はあり
みおちゃんは消しゴムを一つ買った。
懐かしい。
前の学校では大量に名札を作った購買。
新しい学校の購買は、文房具屋さんのよう
お菓子なんかは売っていなかった。
「お菓子売ってたの?」
前の学校のことを話すとみおちゃんは驚いていた。
そのまま、2人で話し自然に一緒に帰ることに
すっかりあたりは暗くなり
街灯を頼りに田舎道を永遠と歩く。
30分ほど歩いて、大きな交差点でみおちゃんは
「私こっちなの」
そう言ったの。
ボクは「好きです」
と、自分でもびっくりだけど、勝手に言ってしまった。
「かいとくんのことまだ知らないから…」
「あと、50回くらい告白してくれない?」
彼女はなにを言っているのだろうか
さっぱりわからないがなんだか嬉しそうだった。
思わず、「うん!」と返事をしてしまったけど
どうすればいいのかわからないから
とりあえず、明日から「おはよう!」の代わりに
「好きです!」と言うことにした。
最初のうちは、みんなが驚いていた。
そりゃそうだ、朝から転校生が学校のマドンナに
「好きです!」と言っているのだから。
2ヶ月後、ついに50回告白が終わった
「どうする?」
と、すっかり仲が良くなったみおちゃんが言った。
「バスケ部の子が好き」
と、ボクが言うと
みおちゃんは激怒し
「お前なんかと付き合うかバーーーーーーカ!」
と、ヤンキーのみおちゃんに
「す、すみません!」
と、ボクは田んぼを走った。
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!