ボクの小さな、幸せ集 1week編

えもーしょん 中学生篇 #19

ボクの小さな、幸せ集 1week編

2010〜2013/カイト・中学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.05

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#19 「ボクの小さな、幸せ集 1week編」
(2010〜2013/カイト・中学生)

ある、日曜日の夕方

ボクは、ベランダで空を見上げていた。

落ち込んでいるわけではない。

ただ、見上げていた。

そして、今週は

どんな、7日間だったのか

思い返していた。

特に、これといった

ビックイベントはなかった。

大事件も、起こらなかった

それに、落ち込むような不幸な出来事も。

雲が、ゆっくり動いて

ボクは、ハッとした。

もっと、小さな幸せを

見つけるべきなのではないか。



そして、決心した。

来週は、小さな幸せ集を作る。と

月曜日

学校へは、行かなかった。

パソコンの向かいに座り

好きな、シンガーの動画を見ていた。

「いいわぁ」

と、惚れ込んでいたが

ある事に気がついた。

それは、デビュー当初の動画で発見した。

彼は、デビュー当初

綺麗な、肌色のヌメ革で出来た

ギターベルトをつけていた。

そして、ボクが最近見た

最新版の動画では

その、ギターベルトが

なんとも言えない、絶妙な

濃い茶色になっていたのだ。

ボクは、心の中で

小さく、頑張れ。頑張れ。と応援した。

火曜日

この日は、ママの機嫌がとてつもなくよかった。

なぜかは、わからない。

けど、夕方

「お菓子食べたい」

そう、伝えると

いつもなら、¥110のところ

¥500 くれた。

ボクは、スーパーへ行って

シュガーレーズンをカゴに入れた。

それから

チョコチップメロンパン

それに、じゃがりこも入れた。

水曜日

もの凄い、雨が降っていた。

風も、吹き荒れ

まさに、嵐。

ママは、偏頭痛で苦しそう

ボクも、これから

頭痛に、襲われるだろうと

覚悟していた。

しかし、夜になっても

頭痛は、現れなかった。

ボクは、心の中で

小さく、ガッツポーズをした。

木曜日

愛犬、バローズが

なんだか、幸せそう。

窓から伸びる、太陽の光の

ど真ん中に、陣取り

仰向けに寝ている。

太陽が動き

光が、動くと

その度に、起き上がり

また、ど真ん中で

仰向けに寝ている。

かわいい。

金曜日

朝から、天気が良い。

雲ひとつないし

風も吹いてないし

暑くないし

寒くないし

ママが、駅の方に

用事があるらしい

ボクは、暇だから

ついて行った。

帰りに、銀だこに寄ってくれて

大好きな、たこ焼きを食べた。

幸せ。

土曜日

夜、パパのお酒がなくなって

コンビニへ、買いに行った。

コンビニの店員さんが

「パパの?」

と、聞いて来た。

「うん、あと肉まん」

と、ボクは答えた。

お釣りで、肉まんを買って

帰りに、歩きながら食べた。

日曜日

今日も、何もなく

平和な1日だった。

太陽が、富士山に沈んで行った。


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