What is your color?
「個性」ってなんだ?
Photo&Text:凜
People / 2022.12.16
Luke magazine special contents #2
今、僕たちが考える「個性」のこと。
多様な価値観に触れる機会が多い今、「個性」という言葉の捉え方もさまざまだ。自分を奮起させるポジティブな言葉にもなれば、時に自分を惑わせる言葉にもなる。今回は服飾専門学校で日々自分らしさと格闘する17名の学生が、「個性」について改めて考えてみた。10代と20代のはざまに生きる学生たちの素直な言葉たち。「個性」ってなんだっけ?
Everything is Individuality.(すべてが個性)
文化生は個性的か?
それは魚にも通ずるのかも
「個性」って、人より優れていたり、尖っていたり、目立つことだけじゃない。これは、文化服装学院に来て分かったこと。
「文化服装学院は個性的な人が多い」ってよく聞くけど、本当にそうだろうか。派手で目立つ人は「個性的」で、地味で目立たない人は「没個性的」?それはちょっと違う気がする。俗に「個性的」と言われる人は、ただ希少でめずらしいだけで、希少といいつつもニッチなジャンルに属している。派手な人の集まるニッチなジャンルにフォーカスしてしまえば、目立つ/目立たないの差が無くなって、みんなが「没個性」となってしまう。「個性的」であるか否かに基準を設けてしまうと、目を向ける範囲によって答えが変わってきてしまう。
私の思う「個性」というのは、その人の「すべて」だと思う。キリがなくて投げやりな考えかもしれないが、人と人の小さなギャップのすべてが、個性と言えてしまうと思う。
また、個性に優劣を絡めるのもナンセンスだと思う。物覚えが悪いことも、無彩色の服しかないことも、流行りの音楽しか聴かないことも、誰かと比べれば差異があるわけだから、全部ひっくるめて「個性」だと思う。そもそも物事に良し悪しなど、有って無いようなものだし。すれ違う女子高生やサラリーマンがみんな同じように見えても、ひとりひとりに人生があって、抱えているものがあって、好きなものがある。見えないだけで、ひとりひとりに「個性」がある。だから「あの人って個性的だよね」という言葉にも、私は違和感を覚える。個性にベクトルは存在しないと思うから。そう言うあなたにも個性が溢れているし、私も、あの人もそう。無数に存在する個性の数なんて、比べようがないと思うから。
小学生の頃言われた「個性を大切に」というのは、今になって理解できる気がする。自分と他人との違いを、認めよう。理解が及ばずとも、自分の正義ばかり押し付けずに、否定せず受け入れよう。それは、大人になっても出来ない人が多いから、簡単なことではない。生きていく上で、人と関わり続ける限り、永遠に纏わりつく課題だと思う。個性の尊重は、自分もしくは他人を押し殺す可能性がある。歩み寄って、妥協し合って、互いの正義と正義の真ん中に、答えが導き出せたらいいのに。それが出来たら、戦争や差別なんて起きないのに。
文化服装学院にいると、ひとりひとり全く違う人間なのだと、視覚から認識できる。同時に、外見と中身は関係ないことを痛感する。偏見や決めつけは無意味だと知る。他人の「個性」を受け入れるためには、まず自分を受け入れることからだと思う。他人に対して許せない気持ちが湧いたとき、同じ制限を自分にも課していると気付く。
自分に寛容になることが、他人を認める第一歩だと思っている。
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凜
上京組よりも路線に疎い東京人。高校時代に実家を追い出され、優雅に1人暮らしを満喫中。趣味はオンラインゲーム。どうぶつの森とかじゃない。対人のFPSが好き。他には音楽、映画、アートなど。サブカルチャーに育てられた。