オニオンサーモン。

えもーしょん 高校生篇 #18

オニオンサーモン。

2013〜2016/カイト・高校生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.11

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#18
「オニオンサーモン」
(2013〜2016/カイト・高校生)

友達と、回転寿司に行ったある日。

その日は、バイトのお給料日。

バイト先の友達と

お寿司を食べに行く事になった。

お店へ向かう途中

やっぱり、好きなネタの話に

「かいとは、なにが好き?」

と、言われ

「タコと、エビと、エンガワ」

と、答えた。

逆に、なにが好きか

聞いてみると

「サーモン」

と、友達。

サーモン、か。

小さい頃、学校で

好きな、お寿司のネタを話しをしていた時。

サーモンと答える同級生は

なぜか

大人に見えた。

なぜだろう。

ボクは

マグロとタコと蒸しエビか好きだった。

当時、トライしてみたが

ボクにはまだ早かった事を思い出した。

「サーモンって大人だよね。」

と、ボク。

「そう?」

「なんかさ、サーモンとティラミスは大人のセットってイメージない?」

「ないな」

「小学生の頃から、サーモン食べられるの?」

「小学生の頃から…まぁ」

こいつ、大人だな。

なんて、思いながらお店に着き

案内された席に着く。

タッチパネルで、好きなお寿司を

選ぶけれど

彼は、真っ先に

「サーモン」を選んだ。

やっぱり、大人だ。

ボクは、「とりあえず、タコ」

と、タコを頼んで

お味噌汁も、頼んだ。

「一回、食べてみたらいいじゃんサーモン」

と、彼は言った。

「え、大トロ? 中トロ? ノーマル?」

「ノーマル(笑)」

と、少し笑いながら

彼は、ボクにノーマルサーモンを頼んだ。

ボクのタコと、彼のサーモンが

新幹線に乗って、やって来た。

「ようこそ」

彼はそう言って

サーモンを食べる。

「いらっしゃいませ」

ボクはそう言って

タコを食べる。

そして、お味噌汁も。

遅れて、ノーマルサーモンが

新幹線に乗ってやって来た。

慌てる様子はない。

ドーーーーーン。と

しっかりやって来た。

「さ、大人の階段登っちゃお」

彼はそう言って

新幹線から、ノーマルサーモンを取り

ボクの前に置いた。

「大人の階段ね…」

と、恐る恐る

ノーマルサーモンを醤油につけ

パクリ。

ん?!

なんか、美味しい。

「あ、全然美味しいぞ。ノーマルサーモン」

と、ボク

「でしょうー?」

と、彼は言って

「では、大トロ、中トロ、オニオンも行っちゃおう!」

と、言うが

「オニオン? オニオンは流石に…」

「まぁまぁ、いいからいいから」

と、彼に勧められ

新幹線に乗ってやって来た

大トロ、中トロ、オニオンサーモン。

ボクは、順番通り

大トロ、中トロさんを食べてみるが

やっぱり美味しい。

そして、最後に

オニオンサーモン。

なぜか、嬉しそうに笑う

友達。

「じゃ、じゃあ食べるよ?」

「どうぞ、どうぞ」

と、パクリ。

なんと…

「美味しい」

と、ボクも少し

大人になったのかも。


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