What is your color?
「個性」ってなんだ?
Photo&Text:将真
People / 2022.12.16
Luke magazine special contents #5
今、僕たちが考える「個性」のこと。
多様な価値観に触れる機会が多い今、「個性」という言葉の捉え方もさまざまだ。自分を奮起させるポジティブな言葉にもなれば、時に自分を惑わせる言葉にもなる。今回は服飾専門学校で日々自分らしさと格闘する17名の学生が、「個性」について改めて考えてみた。10代と20代のはざまに生きる学生たちの素直な言葉たち。「個性」ってなんだっけ?
I am we.
すべて、じぶん。
昨今ジェンダーレスやダイバーシティなど、「多様性」を認めようという動きが活発になったような気がする。社会全体で見ればいいことなんだと思う。でも、個人の感情を全面的に押し出していいなら、自己中心的な考えをするなら、皆同じくらい苦しめばいいと思う。
僕は、小さい頃から可愛いものもかっこいいものも好きだった。
化粧も母親のものを勝手に使ったし、ネイルやスカートも好きだった。プリキュアも見てた。でも、親や先生は「男の子だから」「長男だから」そう言って遠ざけた。
別に良かった。
小さい頃の自分からしたら、大人の言うことは絶対だし、自分の性別に疑問を持つこともなかった。世の中の性同一性障害の方は、小さい頃から自分の性に違和感を感じる人が多いと、何かで読んだ気がする。羨ましいと思った。自分もそう感じることが出来て、耐え切れなくなって、どこかで吐き出せたらと思った。僕は、自分がどうしたいかよりも、他人が自分にどうしてほしいかで物事を考えるようになった。だから、自分の性別も「男」にした。
諦めたら、楽になった。
したいことをして、見たいものを見て、喋りたいことを喋って「気持ち悪い」と言われることに比べたら、ずっと楽だった。そんな生活の中で、ジェンダーレス男子が話題に上がった。受け入れられ始めていた。正直、ふざけんなと思った。ストレスで吐いて、髪も白髪交じりになって、やっと諦めて楽になったのにと思った。その反面すごいとも思った。僕に戦う勇気がなかった、逃げたんだと思い知らされた。普通の悩んでいた人なら、そこで感化されて行動していたんだと思う。でも、僕は何もしなかった。できなかった。親に打ち明けることも、こっそり化粧することもなかった。もう自分には無理だと諦めているから。
「個性」という言葉で括るには、自分は絡まっている割に薄いなと感じる。どの自分も、どこかで諦めが入っているから、一つ一つが薄いんだと思う。まとめて「僕」なら「個性」と言えるのだろう。でもまとめてしまったら、それぞれの「僕」が可哀そうだと思う。女の子っぽい自分も、男の子っぽい自分も、生きる希望に溢れ前向きな自分も、死にたくて絶望に打ちひしがれている自分も、ひとつ残らず「僕」だし、それぞれが「僕」なんだと思う。
それを受け入れて、全員の個性を尊重するか、まとめ上げて一つの個性に矯正するか。僕の苦しみは消えることはないだろうけど、死ぬ間際に認められれば、それで御の字だ。
「個性」や「多様性」は、
誰かに認めてもらうものでも、否定されるものでもない。
自分が苦しみ抜いて認めればいい。僕はそう思う。
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大高将真
神奈川産まれ東京育ち。甘い物がめちゃめちゃ好き。特撮も好き。公共の場はキレイにしたいけど、パーソナルスペースや頭の中、創作物はぐちゃぐちゃな方がいい。と思う。最近はゲームや配信にはまっている。