フェリー、揺れるお風呂

えもーしょん 小学生篇 #54

フェリー、揺れるお風呂

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.09.24

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#54
「フェリー、揺れるお風呂」
(2003〜2010/カイト・小学生)

お家を出発してから、約8時間。

幾度となく、睡魔に襲われ

何度か、飛んでしまったものの

無事、大阪府にはたどり着いた模様。

パパと、サービスエリアに立ち寄り

ながーーーーーーーーーーーいトイレを済ませ

電光掲示板の地図を確認。

やはり、大阪府には到着していた。

分厚い地図を開き

ここから、フェリー乗り場までの道を確認。

再び、電光掲示板と照らし合わせて

ここから、1時間半ほどで到着するみたい。

フェリーの時間まではまだまだあり

2人でほっと一息

売店に向かうと、ラーメン、焼きそば。

定番はやっぱり勢揃い、でもせっかくここまで来たし

すぐにフェリーに乗ってしまって

大阪の滞在はここしかないから、たこ焼きかお好み焼きが食べたい。

パパと2人で、お店を選んでフラフラ歩いていると

自動販売機コーナーに、面白いものを発見!

なんと、ポテトも焼きおにぎりも焼きそばも

たこ焼きも! お好み焼きも! 出てくる!? 自動販売機を

見つけてしまった。

「ぼく、これにする!」

「えー!? ここまで来て?」

「見たことないもんこんなの!」

「見たことないの? 結構どこにでもあるよ?」

「いや、これにしておく!」

そう言って、なんだかんだパパも

自動販売機製の焼きそばとたこ焼き、焼きおにぎりを

「懐かしいー!」と言いながら食べていた。

お菓子で、お腹いっぱいのボクは

たこ焼きとお好み焼きを食べた。

これが、初めての大阪で食べたたこ焼き。

それから、車に戻り

少し休憩してから、フェリー乗り場へ向かう。

もう、沢山の車が並んでいる。

サーフボードを乗せている車もちらほら

車のまま、フェリーの中に入り

車を預けて、ボクらは部屋へ向かった。

「トラックの運転手さんがくる前にお風呂へ行こう!」

突然パパが急ぎ始めた

訳がわからないまま、大きな大浴場へ向かう

「まだ、誰も来ていないみたいだね」

「ラッキー!」と運転に疲れたパパ。

ん?

「かい、早く体洗ってこっち来いよ」

と、パパ。

すると、船が出発した。

「何これ?!  G!? ってやつ?」

グワングワンと台風の日の海のように揺れるお風呂。

「来た来たー!」

と波が立ち、ちょっとクロールしてみる。

意外にも、流されて2人でちょっとびっくり。

船が落ちつくと、トラックの運転手さん達が

大勢でやってきて、お風呂はギューギュー。

「な、言っただろう?」

と、ドヤ顔のパパ。

明日は、宮崎。

そして試合当日。


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