嵐のあとは

Emotion 第20話

嵐のあとは

Contributed by Kite Fukui

People / 2023.08.10

「唯一無二の存在になりたい」オワリと「計画的に前へ進み続ける」カイト。ありふれた日々、ふわふわと彷徨う「ふさわしい光」を探して、青少年の健全な迷いと青年未満の不健全な想いが交錯する、ふたりの物語。


第20話

雨と風が止まり、蝉の声が聞こえた。

カイト「そろそろ行くか」

と、彼は僕の自転車をマンションのエントランスへ持って行くついでに天気を見に行った。日本一周へ向けて僕らは旅に出る。何をもって行くかまずはどこへ向かうか、いろいろ調べた結果。

カイトが空っぽのリュックを一つ持って、必要なものはその都度買って入れよう。と言った。それは名案だ、正直重い荷物があるのとないのとで疲労感もかなり違ってくるだろう。それに、頼むからキャンプだけはやめてほしい。と2時間かけて説得したので僕らはビジネスホテルに泊まることになった。これでテントやらキャンプグッズを買う必要も持って移動する必要もないのだ。

玄関のドアが開いた

カイト「オッケー、大丈夫そうだわ」

いよいよか。

僕「了解」

と起き上がるついでにアキレス腱だけ伸ばしておく。外に出ると、空は気持ちよく晴れていた。

カイト「じゃあ、よろしく」

僕「よろしく」

自転車のペダルを踏み込み僕らは、湘南へ向けて走り出した。一漕ぎ一漕ぎ、街から離れるごとに不安が少しずつ湧いてくる。帰れない。と思えば思うほど。家の鍵は閉めたか、ガスの元栓は閉まっているか、電気は消したか、給湯器も消したか。など間違いなく点検してから家を出ているがそれでもやっぱり気になってしまった。

僕「カイトー!」

夢中で進む彼に声は届かない

僕「カイトー!!!!!!!」

やっと気づいたが、こちらに手を振ってまた漕ぎ始めた。もういいや。こんな序盤でイラッとしてしまったら持たない。大丈夫だ。と自分に言い聞かせて彼の後を追う。


続く



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