えもーしょん 中学生篇 #61
秘密の彼女
2010〜2013/カイト・中学生
Contributed by Kaito Fukui
People / 2020.11.23
小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!
#61
「秘密の彼女」
(2010〜2013/カイト・中学生)
中学3年生の秋。
どんなに遅くとも、これくらいの季節には進路を決めている人がほとんどだけど
そもそも、進学という概念がなかったボクは進学も卒業後のことも
なーーーーーーんにも考えていなかった。
というのも、それどころじゃなかったからだ。
中学三年生になると、やっと子供からちょっと大人になり
自分の行動範囲も広がった。そうすると自分の住む街のことや
その周辺の街のことを知り、他校の生徒とも何故か交流ができた。
ボクの住む街よりも、もっと都会の街の同級生はちょっと大人で
中学生なのに高校生の彼女がいるヤツがいて妙に大人に見えた。
そんな彼をいつしかボクは少しだけど羨ましがるようになり
年上の彼女がいる=大人=モテてる。
と、今思うと本当に痛いけど…そう思うようになった。
しかし、いざ「年上と付き合うぞ!!!」と意気込んだところで
そんな簡単に行かないのが現実
おバカなボクでもそれくらいは理解していた。
だけど、そんなところで「出会いがなーーーい」なんて叫ばない。
紹介制度を使えばなんとかなると思っていた。
同じ学校の同級生のお姉ちゃんと仲が良かったので
ちょっと「可愛い方を紹介してください」とLINEしてみた
しかし「私に紹介してください」とあっさり断られてしまった。
あちゃー、どうしようか…なんかそろそろみんなも受験勉強で遊んでくれないし…。
と、思っていると
一件のLINEが
それは、同級生のお姉ちゃんからだった
「かいとくん、ご飯食べに行こうよ」
と、まさかのお誘い。
行った先には美女がズラリだな…と思い込んでいるボクは
「もちろん!」と返信。
そして、後日待ち合わせ場所まで向かった。
映画館の前でお姉ちゃんが待っている。
ボクに気づいたお姉ちゃんは「おはよう!」と手を振った。
ボクも「おはよう~!」と手を振り
見たかった映画を見ることに
?????
美女がズラリではないこの状況と、お姉ちゃんと2人きりのこの状況。
まさか…いやいや、そんなことはないよ…。
映画館に入り、席に座る。
映画が始まり、ボクは買ってもらったジンジャエールとポップコーンを食べるけど
まったく、映画の内容が入ってこない。
なぜなら、ボクの右手をお姉ちゃんが握っているから……。
続く
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Kaito Fukui
1997年 東京都出身 幼少期から波と戯れ、サーフィン、スケートボード、恋に青春。 あの時、あの頃の機微を紡ぐように幾層ものレイヤー重ね描き、未来を視る。 美化されたり、湾曲、誇張される記憶を優しく繊細な浮遊感で!