よだれまみれの1日。

えもーしょん 小学生篇 #23

よだれまみれの1日。

2003〜2010/カイト・小学生

Contributed by Kaito Fukui

People / 2020.03.26

プロサーファーの夢をあきらめ、今はイラストレーターとして活躍するKaito Fukuiさん。小学生から大人になるまでのエモーショナルな日々をコミックとエッセイで綴ります。幼い頃から現在に至るまでの、時にほっこり、時に楽しく、時に少しいじわるで、そしてセンチメンタルな気分に包まれる、パーソナルでカラフルな物語。

小学生篇、中学生篇、高校生篇、大人篇。1ヶ月の4週を時期ごとに区切り、ウィークデイはほぼ毎日更新!



#23 「よだれまみれの1日」
(2003〜2010/カイト・小学生)

ボクの愛犬フレンチブルドッグの

「バローズ」

名前の由来は

元々飼っていた人が

買えなくなってしまって、里親として

迎え入れる時に

前の名前が、「マロ」だったから。

少し、響きが似ている方がいいだろう。

と、ママがバローズと名付けた。

ママが好きな俳優の

リンカーン・バローズと

小説家の

エドガー・ライス・バローズ

から、取ったそうだ。

ちなみに、ボク生まれる前

名前の最終候補は

「かいと」と「ディエゴ」だったそうだ。

ボクと、バローズは最強に仲良し。

朝は、顔の上に来て

よだれを垂らし、ボクを起こしてくれる。

昼寝をしている時も

ボクの、腕を枕代わりにして爆睡。

そんな、ボクとバローズの

よだれまみれのある1日。

AM 7:45

いつもより、機嫌がいいバローズ。

珍しく、散歩に連れて行けと言ってくる。

「バローズ、散歩?」

ボクがそういうと

彼は、体を大きく降り

よだれを撒き散らした後

ニコニコ、満面の笑みでこちらへ向かってくる。

「ちょ、あーもー」

ボクは、バローズのよだれ用雑巾で

彼の飛び散ったよだれを拭き

リードをつけて、外に出る。

家を出ると、また

ブルブルとよだれを豪快に撒き散らし

とってもベリベリナイスな

まぁるいお尻をフリフリさせて

お散歩開始。

隣の木村さんが

「バロちゃんおはよう☀」

と、一定の距離を保って

挨拶してくれた。

北村さんは、バローズのよだれを

熟知している。

しかし、なんだか今日は

北村さんもご機嫌の様子。

「バロちゃん、バロちゃん」

と、バローズを彼を煽る。

そんなに、やったら…。

そうだ思った瞬間

ブルブル〜!

北村さんの、高そうな

毛皮のコートは見事に

バローズのよだれまみれに。

苦笑いして

「ありがとうございました〜」

と、ボク

ニッコニコのバローズ。

これで、満足したのか

「かいと、抱っこ」

と、道のど真ん中に座り込み

ボクの抱っこをじっと待つ。

「バローズ、まだ家から50mも歩いてないよ?」

そんな事はどうでもいいらしい。

重たい、フレンチブルドッグを抱えて

家に戻り、ご飯をあげると

彼は、窓から差し込む太陽の光の下で

ゆっくり眠った。

どんなに、よだれまみれに

なろうとも、君の瞳の銀河に

また、明日も吸い込まれるだろう。

ボクは、君のよだれが好きだ。

床についた、よだれは

拭いても拭いても、伸びてしまうし

君のよだれは、酸が強くて

フローリングのワックスがすぐに取れるし

散歩中、ブルブルして

他の人によだれが着いてしまって

気まずい、空気になっても

君のよだれが好きだ。

そう、彼に言っても

「わかるはずないか」

と、ボクも

光の下で眠るとする…。


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