Cinema Review

「WAKITA PEAK」

Contributed by Dai Watarai

People / 2018.07.20

青い海に白い砂浜、優雅でオシャレなサーフライフ。
サーフィンを題材にした映画と聞いてそんな画を浮かべているとしたら、それは大きな間違い。なんの予備知識もなく観た僕も、気持ち良いくらい裏切られた。

サーフィンの聖地ハワイ・ノースショア。奇跡の7マイルと呼ばれるエリアの中で、最も危険で美しいと言われているのがパイプラインの波。

その波に挑み続けている日本人サーファー脇田貴之。
海を神聖なものとするハワイアンたちを尊重する彼は、危険すぎて誰も近寄らない場所で、一人静かに最高の波を待つ。
そしてその場所はいつのまにか「WAKITA PEAK」と呼ばれるようになった。



これはそんなサーフィンの聖地に名を刻む男の物語。
自分の夢を追い続け、一心不乱で波に立ち向かう。その姿は全然優雅でもオシャレでもない。反抗期の息子、無邪気な娘、暖かく見守る妻に囲まれ、悩み、もがき、葛藤する姿は人間味で溢れている。



夢を追いかけ続けることが偉いとか、かっこいいとか言いたいんじゃない、ただ真剣になれるものを持っている人というのはやっぱり魅力的だ。
「自分はどうだろう?」
サーフィンとは全く無縁の生活を送っているのに、映画館からの帰り道、そんなことを考えていた。

うだるような暑さが続く毎日。涼しげな波の音を聴きながら、少しだけ人生を振り返る、サーフトリップをしてみては?



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